プロジェクト

画像情報処理による低侵襲手術支援システム

臓器モデルを提示して,内視鏡手術における精密な作業を支援するナビゲーションシステムを開発しています.手術中の臓器の表面形状を計測し,これを元に,実際の臓器の変形に合わせて臓器モデルの変形推定を行い,内視鏡画像へ臓器モデルを重畳表示します.

実時間有限要素解析による
軟性組織変形推定

3次元物体モデリングの対象として,時間経過と共に変化する軟性臓器のモデル化は現在もホットな 研究対象です.物体の物理的振る舞いをモデル化する技術として, 非線形有限要素法があり,高精度な力学シミュレーションが実現できます. しかし,その解析に膨大な計算時間を要する問題があります.従来,近似計算を導入することで 有限要素解析の高速化を実現していますが,近似計算により推定精度が低下する問題が避けられません.

これに対し,非線形有限要素解析とほぼ同程度の推定精度と保ちつつ,軟性臓器モデルの変形を実時間で推定可能なシステムを,ニューラルネットワークを用いて実現しました.このような推定処理の高速化と計算精度の保証を同時に満たす従来手法はなく,提案手法は他に類を見ない手法であると言えます.現在,この技術を基盤とした,新しい低侵襲手術シミュレータを開発すべく研究を行っています.

ニューラルネットワークによる軟性臓器変形推定
参考文献

” Simulation of Deforming Human Tissue by Multiple Deep Neural Networksimulation of Deforming Human Tissue by Multiple Deep Neural Networks ”, Kaoru Kobayashi, Ken'ichi Morooka, Yasushi Miyagi, oru Kobayashi, Ken'ichi Morooka, Yasushi Miyagi, Takaichi Fukuda, Tokuo Tsuji, Ryo Kurazume, Kazuhiro Samura, The International Forum on Medical Imaging in Asia (IFMIA2017), pp254-258, 2017.01

立体内視鏡画像からの臓器形状復元

立体内視鏡画像から,内視鏡で撮影される臓器の3次元形状を復元する技術を開発しています. 立体内視鏡のようなステレオ画像から対象物の形状を復元するためには,ステレオ画像をなす左右画像間で 対応点を探索します.しかし,臓器の色やテクスチャは一様であるため,対応点を見つけるのは困難です.

そこで,我々は新しい画像特徴量「広域的エッジ」を定義し,それを用いた対応点探索法を開発し, 臓器形状を安定して復元することが可能となりました.

視差画像を用いた臓器の表面形状計測
参考文献

”A Method for Reconstructing 3D Tissue Shapes from Stereo Endoscopic Images Using Wide-Range Edge”, Ken'ichi Morooka, Yousuke Nakasuka, Tokuo Tsuji, Ryo Kurazume, Makoto Hashizume, Computer Assisted Radiology and Surgery 28th International Congress and Exhibition (CARS 2014), 2014.06