栄養・代謝学

2001年11月6日

酵素

生体内では多くの化学反応が起こっている。これらの化学反応は酵素の働きにより円滑にすすんでいる(代謝経路metabolic pathway)。

 

1.酵素は触媒catalystである。

     反応速度を変化(増加)させるが反応の終点、平衡は変化させない。

     反応の前後で変化しない

 

2.酵素はタンパク質である。

 

3.非タンパク質性の物質(金属イオンや有機化合物)を含む、あるいは必要とする酵素がある。

・補因子cofactor、補酵素coenzyme、補欠分子族prosthetic group

・ホロ酵素holoenzyme = アポ酵素apoenzyme + 補酵素coenzyme

・水溶性ビタミンは補酵素の原料となる。

 

4.酵素(E)の働きにより基質(substrate)は化学反応を受けて変化し、生成物(product)となる。

 

5.酵素反応は、酵素と基質が結合するところから始まる。(基質特異性との関係は?)

     酵素-基質複合体 (ES complex)

     活性部位(active site)

 

6.特異性specificity

     特定の酵素は特定の基質にだけ作用する(基質特異性、substrate specificity)。

     特定の酵素は特定の化学反応にだけ関わる(反応特異性、reaction specificity)。

異なるタンパク質でありながら同一の反応を触媒する酵素をアイソザイムisozymeという。

 

7.酵素の分類と命名法

     国際生化学連合の命名法:最も系統的。それぞれの酵素にEC番号。

1992年の酵素表には約3200の酵素反応。

 

8.酵素反応速度論 enzyme kinetics

@ 酵素反応速度:単位時間 t あたりの基質濃度 [S] の変化量、普通、初速度のこと。

     測定法:sampling method, continuous method

A 酵素反応速度は種々の因子により影響を受ける。

     pH:最適pH(至適pH)     ・温度:最適温度(至適温度)

     酵素濃度 [E]                             ・基質濃度 [S]

B Michaelis-Mentenの式、ミカエリス定数Km, 最大速度Vmax

C 酵素基質複合体 ES complex を仮定して、Michaelis-Mentenの式が導かれる。

D Michaelis constant, Kmは酵素と基質の親和性の目安となる。

E 酵素反応速度から酵素活性 enzyme activity、酵素量が求まる。

     1 U: 1分間に1μmolの基質を変化させる酵素量

     1 Katal: 1秒間に1molの基質を変化させる酵素量

 

9.酵素阻害 enzyme inhibition 阻害剤 inhibitor

@ 酵素阻害には可逆的 reversible なものと、非可逆的 irreversibleなものがある。

A 速度論的に酵素阻害の仕組みが解析できる。

     競合阻害(拮抗阻害)               ・非競合阻害(非拮抗阻害)

 

10.酵素の調節 enzyme regulation

生体内で酵素活性は調節されている。酵素活性が必要とされる時に必要なだけ働く。

@ 酵素量の調節

     酵素の生合成と分解                   Zymogen (proenzyme)

A 酵素分子の活性の調節

     非共有結合性の調節:アロステリック調節allosteric regulation

     共有結合性の修飾による調節:リン酸化・脱リン酸化による調節など

 

11.酵素と医学・医療との関連

@ 先天性代謝異常症:1つの酵素の働きが欠けるだけで重篤になる場合もある。

A 血清中に逸脱、増加した酵素から、障害を受けた細胞を知ることができる。

B 酵素阻害剤は医薬品として利用される。酵素の立体構造がわかれば開発も可能。

C 精製した酵素が試薬として診断に応用されている。

 

12.水溶性ビタミンは補酵素の原料となる。

水溶性ビタミンの欠乏症と関係する酵素反応等

ビタミン名             欠乏症     関係する重要な酵素反応等

ビタミンB群

 ビタミンB1 (チアミン)     脚気、神経炎    ピルビン酸アセチルCoA

 ビタミンB2 (リボフラビン)   口角炎、舌炎   FADの成分

                  脂漏性皮膚炎など

 ビタミンB6 (ピリドキシン)            アミノ酸の代謝

 ビタミンB12(シアノコバラミン) 巨赤芽球性貧血  核酸の代謝

                  (悪性貧血)

 葉酸               巨赤芽球性貧血  核酸の代謝

 ナイアシン (ニコチン酸)    ペラグラ     NAD,NADPの成分

 パントテン酸                    CoAの成分

 ビオチン                      カルボキシル化

                           脱カルボキシル化

ビタミンC             壊血病      コラーゲンの合成

 

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