生化学・分子医化学講義2001919日(1) 

D.酵素

6.酵素の分類と命名法

8.酵素の特異性、鍵と鍵穴説lock and key theory、誘導適合仮説induced-fit hypothesis

 

9.酵素反応速度論 enzyme kinetics

・酵素反応速度:単位時間 t あたりの基質濃度 [S] の変化量、普通、初速度のこと。

     測定法:sampling method, continuous method (stopped flow method)

・酵素反応速度は種々の因子により影響を受ける。

     pH:最適pH(至適pH)            ・温度:最適温度(至適温度)

     酵素濃度 [E]                                    ・基質濃度 [S]

Michaelis-Mentenの式、ミカエリス定数Km, 最大速度Vmax

・酵素基質複合体 ES complex を仮定して、Michaelis-Mentenの式が導かれる。

     迅速平衡法 (Michaelis and Menten, 1913)

     定常状態法 (Briggs and Haldane, 1925)

ES complexの形成は実験的に証明されている。

Michaelis constant, Kmは酵素と基質の親和性の目安となる。

     値からhexokinaseglucokinaseの役割分担が理解できる。

・酵素反応速度から酵素活性 enzyme activity、酵素量が求まる。

反応速度と [E] の関係がもとになる。

     1 U: 1分間に1μmolの基質を変化させる酵素量

     1 Katal: 1秒間に1molの基質を変化させる酵素量

     比活性 specific activity: 一定のタンパク質量あたりの酵素活性

 

11.酵素阻害 enzyme inhibition 阻害剤 inhibitor

・酵素阻害には可逆的 reversible なものと、非可逆的 irreversibleなものがある。

・速度論的に酵素阻害の仕組みが解析できる。

     競合阻害(拮抗阻害)competitive inhibition

     非競合阻害(非拮抗阻害)nonconpetitive inhibition

     不競合阻害(不拮抗阻害)uncompetitive inhibition

     混合型

 

12.生体内で酵素活性は調節されている。酵素活性が必要とされる時に必要なだけ働く。

・酵素量の調節

     酵素の生合成と分解、Zymogen (proenzyme)

・酵素分子の活性の調節

     非共有結合性の調節:アロステリック調節allosteric regulation

     共有結合性の修飾による調節:リン酸化・脱リン酸化による調節など


生化学・分子医化学講義2001年9月19日(2)

 

13.酵素と医学・医療との関連

・先天性代謝異常症:1つの酵素の働きが欠けるだけで重篤になる場合もある。

・血清中に逸脱、増加した酵素から、障害を受けた細胞を知ることができる。

・酵素阻害剤は医薬品として利用される。酵素の立体構造がわかれば開発も可能。

・精製した酵素が試薬として診断に応用されている。

 

3.酵素には、非タンパク質性の物質(金属イオンや有機化合物)を含む、あるいは必要とするものがある。

・補酵素coenzyme、補因子cofactor、補欠分子族prosthetic group

・ホロ酵素holoenzyme = アポ酵素apoenzyme + 補酵素coenzyme

・水溶性ビタミンは補酵素の原料となる。

 

14.(補足)ビタミン vitamin

@     欠乏症がある、

A     体内でつくれない、

B     脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンがある、

C     水溶性ビタミンは補酵素の原料となる、

D     脂溶性ビタミンの場合は過剰症もある。

 

脂溶性ビタミンの欠乏症と働き

ビタミン名          欠乏症      関係する重要な生理過程の例

ビタミンA(レチノール)   夜盲症      視覚、上皮の維持、細胞の分化

ビタミンD          クル病(小児)  カルシウムの吸収

               骨軟化症(成人)

ビタミンE(トコフェロール) (神経障害)   組織の酸化防止

ビタミンK          出血傾向     プロトロンビンなど凝固因子の合成

 

水溶性ビタミンの欠乏症と働き

ビタミン名             欠乏症     関係する重要な生理過程の例

ビタミンB群

 ビタミンB1 (チアミン)     脚気、神経炎    ピルビン酸アセチルCoA

 ビタミンB2 (リボフラビン)   口角炎、舌炎   FADの成分

                  脂漏性皮膚炎など

 ビタミンB6 (ピリドキシン)            アミノ酸の代謝

 ビタミンB12(シアノコバラミン) 巨赤芽球性貧血  核酸の代謝

                  (悪性貧血)

 葉酸               巨赤芽球性貧血  核酸の代謝

 ナイアシン (ニコチン酸)    ペラグラ     NAD,NADPの成分

 パントテン酸                    CoAの成分

 ビオチン                      カルボキシル化

                           脱カルボキシル化

ビタミンC             壊血病      コラーゲンの合成

 

 

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