新芽の頃



午後の暖かい日差しを浴びて

窓の外の木々がその枝先で

新芽の赤ん坊を育てている

赤ん坊はまるくなってすやすや眠りながら

むくむくと膨らんでいく

やがて赤ん坊が目を覚まして手を伸ばすと

それはみずみずしい若葉となって

いっせいに四月の空に広がるだろう

僕よりもずっと長く生きているだろうに

毎年こんなに新鮮に生まれ変われるのか

木って すごいなと思う

しかもその間に幹は確実に一回り太く

梢はちょっぴり高くなっているんだ

就職して一年が経った

うまくいったこともあれば

うまくいかなかったこともある

そのこと自体はごく当たり前のことで

これからもずっとずっとそうだろう

しかし毎年この季節には

あの新芽のように希望と夢に満ちていたい

そして一年の終わりには必ず一回り大きくなり

いつかは多くの人々に喜ばれる果実をたわわに実らせたい

                    (2003年4月)