蓼の気持ち
蓼食う虫も好きずき 良い諺だなぁ 俺は苦い蓼だ 誰からも省みられず たまに間違って口にされても 眉間に皺を寄せてぺっぺっと吐き出される そんなこと俺は全く気にしないが それでも俺自身自分が好きじゃない でもやっぱり蓼は蓼で 蓼以外にはなれない だからこそ 慈しみながら優しく歯を立ててくれるムシが 堪らなくありがたくてまた愛おしいのだ
(2003年7月)