つぶやき
いつもよりも少し早く目が覚めた
窓の外には見慣れた街が寝静まっていたが
その上には見慣れぬ空が広がっていた
低い太陽に透かされた雲が
一面薄紫色のだんだら模様をひろげていた
空は微かに揺れていた
夜は明けていたが
昼は永遠に来ないように思われた
不思議な光景だった
しかし 美しいと思った
だから心の中でそっと
静ちゃん きれいな朝だよ
とつぶやいてみた
すると遠く離れた海辺の小さな町で
彼女がささやく声が聞こえた
きしけん 二人の朝だよ
(2002年9月)