酔っ払い


新幹線の中
二人の酔っ払いが酒を飲みながら
まわりをはばからぬ大声で
しゃべり続けている
全くどうでもいいことを延々と
ゴミは床に散らかしっぱなし
二人ともいい歳なのに情けない

突然私の中で
いつになく正義感と使命感が頭をもたげ
二人を大声で叱責したい衝動に駆られた
君たち静かにしたまえ!
まわりのお客に迷惑じゃないか
そしてゴミを拾いたまえ
二人はびっくりしたように黙り込み
そそくさとゴミを拾い出す
あ〜、爽快だ
まわりの客も皆心がすっとしたことだろう

ところがこれはただの空想だ
私は何も叫ばないし
二人の無作法もそのままだ
からまれるのが怖いのか?
関わるのが面倒くさいのか?
否 実は俺も飲んでいるのだ
飲み方が少し少ないだけ・・・

                 (2003年10月)