安全保障関連法案に関するメモ2


 安保関連法案賛成派への反論

・日本が攻められたら、どうするんだ?

日本が攻められることと、今回の法案で認められた集団的自衛権は直接、関係しない。攻められた場合の対処は、個別的自衛権の問題。

また現代の戦争は、「攻められる」といった戦国時代の戦争イメージとは乖離している。第二次世界大戦の時点でも、いきなり陸軍が侵攻するのではなく、制海権、制空権をめぐって攻防がまず起きる。つまり、国境地帯での小競り合いからはじまる。国境地帯での小競り合いで重要なのは、事態をいかにエスカレートさせないか、それは現在も、海上保安庁が慎重に対処していることからもわかる。

同時に、植民地支配は経済的にもメリットは乏しい。資源もなく、生産年齢人口が減少の一途をたどっている国を占領して、なんのメリットがあるのか?それよりも、経済的なマーケットとして、社会的なコストは、自分たちに払わせながら、貿易をとおしてモノや資源を売りつけて、メリットだけを享受する経済的な関係を築くほうがあきらかにメリットが大きい。

「攻められる」という単純化されたイメージで、安全保障のことを語らない方がいい。

・でもアメリカに守られているなら、アメリカと協力するのが筋じゃないか。

アメリカとの軍事的な同盟関係を強化することが、ほんとうに日本の安全を守ることになるのか、そこは慎重に考える必要がある。

あたかも中国が侵略してくるようなイメージが流布されているが、20世紀半ば以降、世界でもっとも侵略戦争を行ったのはアメリカ。中国は、チベットやウイグルなどの問題はあるが、自分たちの一部だと主張している台湾ですら、軍事的に侵略していない。

他国への侵略(軍事的な攻撃)を重ねてきたアメリカに追随し、集団的自衛権の名のもとに軍事行動に関与するということは、これまでにないほど多くの戦争に日本が巻き込まれる、ということ。

・中国は、軍事的な空白ができれば、 南沙諸島や西沙諸島を占領したではないか?

占領されたのは無人の環礁。国境の侵害が国家にとって大きな問題関心であることはわかるが、あまり過剰に反応することは無益。

日本も、人の住めない竹島を、1953年以降、韓国によって軍事的に占拠され、実効支配の状態に置かれた。それで、どれだけ日本人の平和と安全が損なわれたといえるのか、冷静に考えたほうがいい。福島の原発事故で、人が住んでいた国土のなかに、まったく住めない場所が生じたほうが、よっぽど日本人の平和と安全な暮らしが脅かされた事態。

もし、無人島の竹島をめぐって自衛隊の血が流されるようなことになれば、日本の「威信」は保てるかもしれないが、失われる人命に比べれば、実質的な利益は恐ろしく小さい。