安全保障関連法案に関するメモ3


 今回の法案がなぜ、立憲主義、法治主義、民主主義に反するのか。

立憲主義:衆議院の憲法審査会で違憲と指摘され、その後も法曹界から違憲の指摘があるにもかかわらず、その「疑い」を払拭するための何の修正も施されなかったことは、憲法無視と言われても仕方ありません。よく最高裁で・・・と言われますが、すでに違憲の疑いが濃厚とされた法案を、憲法のもとに設置された立法府がそのまま通せば、立法府の存在意義を自ら否定していることになります(立法府には憲法の枠内で立法する能力がない)。

法治主義:法案審議の過程で明らかになったのは、集団的自衛権の行使の可否や具体的な自衛隊の任務などは、(条文では規定されず)「総理大臣が総合的に判断する」ということです。これが人治主義で、法治主義でないことは子どもでもわかります。法律は、ここまではやっていい、ここからはやってはいけない、という歯止めをかけるためにあり、その線引きを明確にできなければ、そもそも立法する意味がありません。「煙草を吸っていい年齢は、総理大臣が総合的に判断する」なんて、もう法律ではないでしょう。

民主主義:国民主権を直接民主制で機能させることが難しいからこそ、国民に負託された「権力(行政・立法・司法)」に憲法と三権分立によって歯止めがかけられているわけです。そもそも法律の執行機関である行政府が閣議決定によって憲法解釈を変えること自体、あってはならないことですが(行政府が事実上の立法行為をしている)、国民から直接選ばれていない行政府の意向を立法府がそのまま承認するだけの国会審議は、三権分立の否定であり、あきらかに民主主義に反します。よく「選挙」をやったのだからと、民主主義の手続きの重視が言われますが、であれば、あの参議院の特別委員会の「採決」は手続きとして無効です。誰に投票されたかわからない白票を誰かの票として数えることが、選挙の手続きとして違法なのと同じく、議場の誰も何を議題にしているかわからないままの採決などありえません。