松村圭一郎 研究室

多文化の社会理論1・2シラバス (2010年度版)

多文化の社会理論1(前期)

<授業の目標>
民族とは何か。異なる民族や文化の関係をどう理解すればよいのか。これらの問題の考察をとおして,「文化」に対する基本的な視座の習得を目指す。

<授業の内容>
私たちは「性別」や「職業」,「国籍」,「民族」といった多くの社会集団のカテゴリーに囲まれて生きている。「われわれ」と「かれら」を区別する「差異」は,いかにつくられ,集団が境界づけられていくのか。文化人類学の民族境界論をもとに,世界と日本の「他者/異文化」を考える。

<授業計画>
1)民族とは何か:「他者/異文化」を考える
2)「人種」・「部族」・「エスニシティ」
3)日本人とは?:国籍・文化・アイデンティティ
4)民族境界論から「自己」と「他者」を考える
5)討論:集団の「差異」をつくりだすもの
6)フィールドから:エチオピアの民族と移民
7)世界の民族問題1:現代社会の「移民」
8)世界の民族問題2:アフリカの民族と国家
9)世界の民族問題3:欧米の移民政策と人種差別
10)討論:「移民」から民族と文化を考える
11)日本の民族問題1:日本の外国人労働者
12)日本の民族問題2:日本から海外への移民
13)総合討論:多文化社会の世界/日本を考える

多文化の社会理論2(後期)

<授業の目標>
異なる文化の人びとはいかにコミュニケーションを成り立たせているのか。多文化社会の事例や理論の紹介をとおして,多文化共生のあり方を考える。

<授業の内容>
世界の多くの国は複数の民族/文化によって構成されている。前期の民族や文化の理解をふまえ,多文化社会における社会関係の事例を検討したうえで,人と人,人と自然との相互作用の理論などを紹介し,私たちが日常的に行なっている「コミュニケーション」の諸相を社会学的/人類学的に考察する。

<授業計画>
1)コミュニケーションの(不)可能性
2)世界の多民族/多文化国家から日本を考える
3)異文化間の相互行為:エチオピアの事例から
4)討論:異文化コミュニケーションは可能か?
5)「コミュニケーション」の深層へ
6)行為と演技:ゴッフマンの社会学
7)人間と言語:エスノメソドロジーの社会学
8)主体と他者:現象学的社会学
9)人間と自然:アクターネットワーク理論
10)人間と環境:アフォーダンス理論
11)精神と自然:G.ベイトソンの人類学
12)討論:異民族/異文化/他者とは誰か?
13)総合討論:「他者とともに生きる」を考える

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