オーラルヒストリー・講演のご案内

講演・ワークショップのご案内

今回、岡山大学国際交流基金によって、オランダの研究者フリーダス・スタイラン氏を招聘致し、
以下の要領でオーラルヒストリーに関する講演会・ワークショップを持ちますので、ふるってご参加ください。
人物紹介・講演内容などは下のほうに記してあります。

現在各地で行われているスタイラン氏のワークショップ・講演 (それぞれの内容は下にあります) 

・ 9月22日(土) 主催:岡山・十五年戦争資料センター
   岡山県生涯学習センター(岡山市伊島3−1−1)、14:00−16:30
   連絡先:086―273―4068
・ 9月24−25日 北九州博覧祭セミナー「Re/Map」16:00-18:00
   情報はhttp://www.d-museum.com/remap/
・ 9月27日(木)17:30−19:00 岡山大学文学部 文学部大会議室
・ 10月1日(月)ライフストーリー研究会 (京都大学)16:30−18:30
・ 京都大学大学院教育学研究科 1階第1講義室 http://www.kyoto-u.ac.jp/
  http://www.users.kudpc.kyoto-u.ac.jp/・・・伎軌咳強跚聽刀E鴒・蜀絖齡闥i蔗躰岱暑u凾タ  問い合わせ:田垣正晋 L50316@sakura.kudpc.kyoto-u.ac.jp

・ 10月2日 名古屋市立大学 オーラル・ヒストリー・ミニシンポジウム
  「オーラル・ヒストリーの可能性: フリーダス・スタイラン氏を囲んで」
  場所: 名古屋市立大学 山の畑キャンパス 2時30分5時30分(予定)
(名古屋市瑞穂区瑞穂町山の畑1) 人文社会学部 205教室
地下鉄/桜通線「桜山」下車 徒歩約10分
市バス/(」R、名鉄、地下鉄「金山」より) 金山11「池下」行 金山12「名
      古屋大学前」行 金山14「清水ヶ岡」「総合リハビリセンター」行
      金山16「山下通」行  いずれも「滝子」下車 徒歩約5分)
     *市大病院( 桜山)とはキャンパスが異なりますので、ご注意下さい。
市立大学はキャンパスが4つに分かれています。山の畑キャンパスが 初めての方は、
  地図をご参照いただくか電話等でご確認の上、お間違えのないようお越しください。
名古屋市立大学人文社会学部 奥田伸子
電話 052-872-5180(研究室直通) Eメール okuda@hum.nagoya-cu.ac


 ・10月3日(水) 椙山女学園大学にて講義を予定しています。
        椙山女学園大学文学部 山本恵里子
  電話 052-781-5407(研究室直通)または781‐1186
  Eメール eriko@lit.sugiyama-u.ac.jp
 
  ・ 10月5日(金) 東京大学 18:30−20:00
  場所 : 東京大学 本郷キャンパス 法文1号館 3階・315教室
         (正門を入って,左手2つ目の建物です)
  参加方法 : 予約の必要はありません.直接おこしください.
  主催 : 東京大学ジェンダーコロキアム(代表:上野千鶴子)
        千葉大学ライフヒストリー研究会(代表:桜井厚)

・ 10月11日長崎総合科学大学長崎平和文化研究所 18:00−20:00
 場所 長崎県教育文化会館 201会議室
    長崎市筑後町2丁目(電話 095-822-5195 )
 連絡先: 木永 勝也  TEL/FAX 095(838)4468 (直通) kise@jca.apc.org 

 
・ 10月12日 東京外国語大学海外事情研究所 研究講義棟4階427
(電話042−330−5405)
府中市 朝日町3−11−1
西武多摩川線(中央線武蔵境駅にてそのままのりかえ)多磨駅下車徒歩4分。ある
いは、京王線飛田給駅下車 北口からの循環バスで5分、「東京外国語大学前」下
車。より詳細な地図は、東京外国語大学のホームページ http://www.tufs.ac.jpをご覧く
ださい。
 
人物紹介
フリーダス・スタイラン氏(Fridus Steijlen 45歳)
 オランダ人。モルッカ人の独立運動に関する研究によって、アムステルダム
大学で人類学博士号を取得。聴き取りの経験が評価され、現在、インドネシ
ア・オーラルヒストリープロジェクトの責任者であり、オランダ王立言語・人
類学研究所のインドネシアセクションの研究員。論文多数あり。最近のものに
「保存することの価値」
「資料コレクション蓄積(ビルディング)の積極的推進における価値と落とし穴」
「過去のための未来:オーディオ・ヴィジュアルアーカイブ オーラルヒストリーと教育」
「インドネシアの日本人に関する異なった物語」

インドネシア・オーラルヒストリー・プロジェクト
 植民地期から独立前後にわたってインドネシア<蘭領東インド>に在住した
オランダ人・インドネシア系オランダ人780名を対象に、1998年から3年に
わたり聴き取り調査を行ったもの。大学間共同プロジェクトとして、運営資金
を各方面から集め、ニュースレターの発行により周囲の理解を進める試みとと
もに進められた。スタイラン氏以下、8名がオーラルヒストリアンとして、ま
た別に数名が運営委員会として参加。記録はミニディスクに保存され、ライデ
ン大学で2001年5月から公開されている。

日本にスタイラン氏を呼ぶにあたって:
 日本においては種々の分野で聴き取りの手法は取られているものの、方法
論・理論において、社会学のライフヒストリーとの相似と相違などに関しても
曖昧な点が多い。英国・シンガポール・インドネシア等が国立の音声資料アー
カイブを持つのに対して我国ではオーラルヒストリーの可能性が非常に限定し
て理解されており、口述資料の科学性・客観性・信頼性保持や、調査対象者の
選別の仕方の理解も堅実とは言いがたい。なぜ日本で定着しなかったかについ
ても考察しつつ、資料蓄積のシステムや、分析の方法など具体的に検討するこ
とがひとつの課題である。
 また、現在、過去の歴史の記憶および記録のされ方が大きな関心を呼んでい
るなかで、文献資料によらない口述を元にした音声・視覚資料の重要性が高
まっている。戦争を実体験した世代が高齢化し少数になっていく中で、その記
憶・経験を記録する方法としてのオーラルヒストリーによる、科学的・客観的
歴史資料の保存と蓄積が急がれる。インドネシア・日本・オランダの関係性に
ついての聴き取り調査を企画し資料蓄積・公開を行ったフリーダス氏らの試み
は、植民地支配の歴史を持つ我国においても、参考になる側面を多く持ってい
る。オランダが行った今回のプロジェクトを、日本のコンテクストにおいて批
判的に検討しつつ、オーラルヒストリーの可能性と問題点を考えてみたい。

***
*最初に、インドネシアオーラルヒストリープロジェクトの内容を簡単に説明し、組織的な
聴き取りがどう行われたかを紹介します。また、時間が許す限り、ライデン大学の
音声資料を実際に聞く機会を設けます。音声ならではの、珍しい資料です。一聴の価値あり。
また、時間が許し、かつ希望があれば、実際の「聴き取り」を器材を使って模擬実演します。
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1. 岡山戦争15年戦争資料センター主催
 タイトル:歴史(ヒストリー)とオーラルヒストリー:第二次大戦とオランダ
 ドイツ軍に占領されたオランダにおいて、歴史記述においてオーラルヒストリーが果たした役割を整理し、
オーラルヒストリーを通して人々が自らのアイデンティティを確認していった経緯を検討する。オーラルヒス
トリーによる語りの信頼性についても考えたい。

2. 北九州博覧祭 (小倉)
タイトル:ポストコロニアルマップス:記憶とロケーション
オーラルヒストリーの中で語られる、記憶と場所の関わりの実例を示しつつ、記憶と「場」がいかに関わって
いるかを考える。また、聴き取りをする場合に、「どこで」という場・空間を問うことによって、内容がいかに充
実したものになるかを検討する。植民地の心象地理についても考察したい。

3. 岡山大学文学部
タイトル:音声言語資料におけるオーラリティの特性――書かれたものと語られたもの
音声資料においては、資料は多くの場合筆写され、書き文字に写されて分析されるが、その段階で、「書か
れたもの」に姿を変える。そもそも音声資料の価値と意味とは何なのか。書かれたものと語られたものの記録
はどう異なるのか。音声資料と記述資料の関係性について検討する。

4. 京都大学ライフストーリー研究会
タイトル:<語られた記念碑>としてのオーラルヒストリー
人々は、オーラルヒストリーをする際に、インタビュアーに対し、語りながら「自分のうちの世界」から「外の世界

に到達する。その際に、文化的な背景など、語り手と語りを聞く相手のあいだに、様々なレベルでの交渉が起こる。
語るものの心理について考える。 

5. 東京大学ジェンダーコロキアム+千葉大学ライフヒストリー研究会
タイトル:女性史とオーラルヒストリー――刻印された記憶
オーラルヒストリーがオランダで受容されるにあたり、女性史が果たした重要な影響について整理する。
またインタビューにおけるジェンダーの影響について、インタビュアー・インタビュイーの文化的背景も視野にいれ

考える。時間が許せば、刻印された記憶が語られる際の信頼性・信憑性についても検討したい。

6. 長崎平和研究所 
 「証言をどのように生かしていくかオーラル・ヒストリーと音声資料の活用」     
長崎には、被爆者証言が多く残る。元被植民地や連合軍側・被爆二世も含めた種々の記録が証言者の会やメディア
に多く記録されている。また、今だ残る資料や記憶も多い。今後、それを将来に渡っていかに保存し、公開していく

スタイラン氏らの方法を紹介し検討する。

7. 東京外国語大学 海外事情研究所
タイトル:未定。 例:国民の物語と個人の'もの・がたり'
東京外国語大学海外事情研究所では、「記憶」のプロジェクトをすすめ、種々様々な立場から、記憶のダイナミクス

ついて検討してきた。このたびは、3年間のプロジェクトのまとめ時期にあたり、オーラルヒストリーを検討する―

―予定です。

::::上記に関するお問い合わせは、以下まで
日本オーラル・ヒストリー研究会(JOHA)準備 会発起人:中尾知代(エセックス大・岡山大学)山本恵理子(

UCLA・椙山女学園大学)
連絡先:岡山大学文学部行動科学科 中尾知代 tnaka@cc.okayama-u.ac.jp     
  http://scalar.cc.okayama-u.ac.jp/user/le/geog/33nakao/ (9月21日より)
 なお、東京での連絡には、NHK出版の石浜哲士に協力をお願いしています。
NHK出版の連絡先は、   Tel.03−3780−3319   
                   Fax.03−3780−3393  

JOHAは仮称であり、日本各地で聴き取りを行っている方々の間をゆるやかなリンクでつなぎ、情報交換をすることを

目指しています。とりあえず、今の面子で始めかけていますが、諸先輩を始め、皆様のご参加をお待ちしています。

ORA(Oral Resource Association)という形で、音声資料を扱う方々の交流という案もあります。 

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