田中 共子  TANAKA, Tomoko

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所属 : 文学部・人文学科・教授
Professor, Dept. of Humanities, Faculty of Letters

(大学院社会文化科学研究科)

講 座 心理学 (Psychology)
専 門 社会心理学 (Social Psychology)
授 業
(平成28-29年度)







 
<学部>人文学概説(心理学1a,1b:社会心理学入門)、人文学講義(心理学a,b:異文化間心理学)、行動科学実験・調査演習(心理学研究法)、行動科学課題演習(講読)、行動科学課題演習(卒業論文演習)、社会心理学入門(教養教育)など
<大学院修士課程>心理学3(異文化間心理学)、心理学演習など
<大学院博士課程>現代社会心理学、現代社会心理学演習

研究題目とその内容(Research subjects)
社会心理学、異文化間心理学、健康心理学、臨床社会心理学
・文化の多様性に基づく心理学的な動態として、異文化接触、異文化適応、人間行動の文化差について考える。具体的な研究テーマとして、異文化環境における対人関係形成、ソーシャルサポート、ソーシャル・スキル、異文化間コミュニケーション、環境移行に伴う精神的健康、異文化対応能力を育成する心理教育的セッション、異文化間教育、多文化集団における対人行動、人間行動の文化による多様性の発現など。
・適応やコミュニケーションに関する学問的パラダイムを活用した、社会心理学・健康心理学領域の、学際的共同研究。異文化滞在者の健康教育としての異文化間食育、異文化間の対人関係形成、社会性向上のためのソーシャル・スキル学習、高齢者と介護者の心理的適応に関する健康心理学的研究、心理教育的な医療安全教育としてのゲーミングシミュレーションなど。
・量的手法と質的手法を組み合わせたパラダイムを用いて、多面的に心理現象を捉える。研究主題にあわせて面接法、質問紙法、実験法などを活用する。

研究業績(Research Subject)
著書






 
・『社会心理学への招待』(1996) ミネルヴァ書房(共著)
・『留学生のソーシャルサポートとソーシャルスキル』(2000) ナカニシヤ出版(単著)
・『動きながら識る、関わりながら考える−心理学における質的研究の実践』(2005) ナカニシヤ出版(共編著) ほか
論文
























 
・Effects of Social Support Networks on Cross-cultural Adjustment.(1997) Tanaka, et al., Japanese Psychological Research, 39(1), 12-24.
・「在日留学生の異文化適応:ソーシャルサポートネットワークの視点から」(1998) 田中共子 『教育心理学年報』  37, 143-152.
・「ソーシャル・サポートからみた異文化適応:アメリカにおける日本人高校生の場合」(1999) 田中共子他 Journal of Intercultural Communication, 3, 99-113.
・「在宅介護者のソーシャルサポートネットワークの機能−家族・友人・近所・専門職に関する検討−」(2002) 田中共子他 『社会心理学研究』 18(1),39-50
・「高齢者の在宅介護者の認知的成長段階に関する一考察」(2002) 田中共子他 『質的心理学研究』 1,5-16
・「ソーシャルスキル学習を取り入れた異文化間教育の試み」(2005) 田中共子他  『異文化間教育』 24,28-37
・「臨床心理学と社会心理学の接点におけるストレス研究:異文化ストレス」(2005) 田中共子 『ストレス科学』 19(4),42-48 ほか

授業(学部)の内容と方法(Teaching Methods)
 
 下級生向け入門科目である「概説」「一般科目」の授業では、「人間が社会的動物であるとはどいういうことか」を社会心理学の概念で説明し、社会心理学的な視点・着想を養う。理論と現実を結びつけるため、具体的な事例・事件を取り上げたり、創造的な着眼や思考力・表現力を養うためにミニリポートを授業中に課す。英語論文や英書を読む「講読」では、英語「を」勉強することから、英語「で」心理学を勉強する方法へ発想を転換させる。専門用語解説、要約練習、エッセイ練習、内容発表などで力をつける。上級生向け専門科目の「演習」では、研究活動への導入を意識して、今日的で具体的な研究素材を取り上げ、研究の基本的な構成の仕方や技法、論文の探し方と読みこなし方から学ぶ。自分なりのコメントを考えて述べたり、レポートを作成して、研究実践へと近づいていく。研究方法の理論を学び実習を行う「研究法」「実験調査演習」では、研究実践に必要な研究技法の習得、計画立案、準備、実施、データ処理から論文作成までを扱い、自分の問題意識に基づいて心理学の研究ができるようになることを目指す。講義ではビデオやOHPなど視覚教材を活用したり、エクササイズや体験学習を適宜用いて、記憶中心の学習より、自分で考えて表現する力や応用力がつく指導を心がけている。

大学院の教育(Graduate Students)
 
 大学院生向け授業では、研究の着想力や構成力を養うため、今日的トピックスを取り上げ、論文を素材とした討論を実施する。研究指導では、専門学会や論文での発表を奨励している。独創性ある研究テーマの設定と、的確な学問的問題意識に基づく科学的探究心を重視する。英語による文献の読解力は不可欠。専門の文献や書籍の多くが英語であり、資料を検索して取り寄せ、それらを読みこなし、展望論文の執筆を目指すことを勧める。質問紙調査や実験を行う場合は、パソコンによる基本的な統計運用能力が必要。主題によっては、面接法を用いた質的研究も行っており、量的手法との統合研究を実施する場合もある。文化や健康に関わる学際的な研究も歓迎する。なお健康心理学的な研究を計画的に遂行していけば、「健康心理士」の資格取得が可能であり、過去に学生の取得例もある。ただし心理臨床家養成のための教育は行っていない。

自己努力目標(Self Improvements)
 理論と実践をつなぐ場を持つことは幸いなことであり、社会人教育は自分も学ぶ機会となる。地域サービスとして「異文化間コミュニケーション・ワークショップ」などを手がけてきたい。

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