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井出グループ

チャネル創薬支援のための技術開発

膜タンパクと総称されるタンパク群は細胞の膜に存在し、細胞内外の物質の出入りを制御しています。これらのタンパクは、遺伝子発現から神経活動まで、あらゆる細胞の活動に関与しています。膜タンパクの機能不全は、大きな疾病につながることが予想され、実際に膜タンパクの変異に起因する遺伝病がたくさん知られています。膜タンパクは医薬品開発の重要なターゲットですが、薬効を調べる効率的な方法が存在しないため、その開発は大きく立ち遅れています。私たちは、光と電気を用いた計測によるHTS(ハイスループットスクリーニング)デバイスの開発を目指しています。









膜タンパク1個を観て、触る

膜タンパクのように水に溶けないタンパクは微細な構造を決めるのが難しく、どのように動いているのか分かっていません。これを理解することは、医薬品を開発するに当たっても重要なことです。私たちは、光を使って1つ1つの膜タンパクの形を観る技術を開発しました。また、タンパク分子1個を操作することも可能です。これらの技術を用いて、膜タンパクの動作原理を明らかにしようとしています。

 

 

 

JP次世代コアプロジェクト5:イオンチャネル標的薬がもっと身近になる

 

早川グループ

本グループではBacillus thuringiensisが生産するクリスタルタンパク質に注目した研究を進めています。B. thuringiensisは胞子形成期にタンパク質凝集体(クリスタル)を形成する土壌細菌です。B. thuringiensisは土壌だけでなく昆虫や植物体の表面、湖沼や河川、海洋、下水、穀物・食品製造工場、動物の排泄物など様々な場所から分離され、アジアやヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカ、オーストラリア、南極の7大陸の全てで分離された報告があります。これまでに見つかったクリスタルタンパク質の中には昆虫特異的な殺虫活性を示すもの(Cryトキシン)もあり、微生物殺虫剤として世界各国で利用されています。

 

 

土壌細菌Bacillus thuringiensisの光学顕微鏡画像


ヒトに優しい微生物殺蚊剤の開発

Cryトキシンには蚊(双翅目昆虫)幼虫に特異的な殺虫活性を示すものもあります。蚊はマラリアやデング熱、ウエストナイル熱、日本脳炎など、重篤な病気を媒介するベクター(媒介虫)であり、Cryトキシンを利用してこのような病気を間接的に予防することが期待されます。一方、Cryトキシン殺虫剤を開発する上で問題となることの一つに「抵抗性昆虫の出現」があります。抵抗性因子は昆虫遺伝子の突然変異によって生じると考えられるため、その発生自体を100%防ぐことは困難です。
 私たちは様々な殺蚊Cryトキシンを大腸菌で大量生産し、トキシン作用機構の比較解析やトキシン間相互作用の解析を進めています。最終的にはヒトや環境に優しく、且つ抵抗性昆虫の出現を抑制できるCryトキシン殺虫剤の開発を目指しています。

 

 

 

 

 

 

 

Cry4Aaトキシンを投与したアカイエカ幼虫

 


効率的なタンパク質生産技術の開発

細胞膜に小孔を形成すると考えられるCryトキシンですが、B. thuringiensisではタンパク質凝集体(クリスタル)として菌体内に蓄積します。クリスタル形成は「大量のタンパク質をコンパクトに収納」するだけで無く、「生産したトキシンから宿主細胞を保護」する役目もあると期待されます。
私たちはこのようなCryトキシンのクリスタル形成機構を生産の難しいタンパク質の生産に転用することによって、新しく且つ効率的なタンパク質大量生産技術を開発しようと考えています

 

 

 腎機能バイオマーカー、シスタチンCを大腸菌で生産


研究テーマ

1分子イメージング装置開発
 
ハイスループットスクリーニングデバイスの開発
 
PACによる結膜細胞内のcAMP濃度調整
 
光感受性チャネルの創製
 
Cryトキシンの殺蚊活性機構の解明
 
ペプチドタグ4AaCterによるトキシン製剤化
 

実験室の様子