しばらくかたい話がつづいたので、
このあたりで、ちょっと箸休め。
いったい、「フィールドワーク」とかいって、
エチオピアの村でどんな生活をしているのか、
人びとの暮らしはどんな感じなのか、少し書いてみます。
最初に村に入ったときは、前にも書いたとおり、
大通りに面した長屋のひと部屋を間借りして、生活をはじめた(写真1)。
そのときは、外人価格で家賃が月1500円ほど(村人だとふつう月500円以下)。
料理とか掃除をしてくれる、お手伝いの女の子をひとり雇って、
いろいろと身の回りの世話をしてもらっていた(たしか月給600円くらい)。
(写真1) 最初に生活をはじめた長屋。土壁に描かれた絵が印象的。
村に水道はないので、水を使うには、水汲みにいかないといけないし、
食事をつくるとなると、製粉所にいって穀物を製粉するところから、
薪をひろい集めて、火をおこして…と、いろいろと大変。
ただ、そうやって作ってもらう食事も、最初はなかなか口に合わない。
村で生活をはじめた頃の日記を読み返してみると、こんなことを書いていた。
「朝食は、ごはんというか、ピラフ。どうも気に入らないので、
お湯を沸かしてお茶漬けにしてみる。油っぽくてうまくはならない…」。
いま思えば、お米の料理を出してくれるなんて、
外人の口にあわせて工夫してくれたんだな、とわかるけれど、
当時は、そのあたりもよくわかってない。
日本からもってきた「お茶漬けのもと」を使ったりして、何とか食べていたが、
最初の2ヶ月で、5キロ以上、痩せてしまう。
一度、首都に帰ったあと、再び村にもどって、
今度は、農民の家に居候させてもらうようになった(写真2)。
(写真2) 一番手前の家で、家族4人とみんな川の字になって寝ていた。
それからは、ふつうにみんなと同じものを食べるようになる。
エチオピアの代表的な主食が、「インジェラ」といわれるクレープ状の薄焼きパン。
豆や野菜などを使ったカレーのような「ワット」といっしょに食べる(写真3)
だんだん好みをわかってくれるようにもなって、いつもとってもおいしい。
(写真3) ある日の食事。インジェラを手でちぎって、ワットにつけて食べる。
たまに、外人だからとパスタなどをつくってくれると、これが、ひどくまずい。
くたくたになるまで「煮込んで」あるから、コシも何もあったもんじゃない(写真4)。
やっぱり、そこで長いあいだ人びとに食されてきたものが一番おいしい。
いまでは、村で過ごしていても、いっこうに痩せる気配がない…。
(写真4) 「おごちそう」のパスタとパン。茹ですぎて鍋のかたちのまま固まってる…。
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