エチオピア的 第11回 エチオピアの村の暮らし 〜食べもの編 Part1〜



しばらくかたい話がつづいたので、
このあたりで、ちょっと箸休め。

いったい、「フィールドワーク」とかいって、
エチオピアの村でどんな生活をしているのか、
人びとの暮らしはどんな感じなのか、少し書いてみます。

最初に村に入ったときは、前にも書いたとおり、
大通りに面した長屋のひと部屋を間借りして、生活をはじめた(写真1)。
そのときは、外人価格で家賃が月1500円ほど(村人だとふつう月500円以下)。
料理とか掃除をしてくれる、お手伝いの女の子をひとり雇って、
いろいろと身の回りの世話をしてもらっていた(たしか月給600円くらい)。


(写真1) 最初に生活をはじめた長屋。土壁に描かれた絵が印象的。

村に水道はないので、水を使うには、水汲みにいかないといけないし、
食事をつくるとなると、製粉所にいって穀物を製粉するところから、
薪をひろい集めて、火をおこして…と、いろいろと大変。

ただ、そうやって作ってもらう食事も、最初はなかなか口に合わない。
村で生活をはじめた頃の日記を読み返してみると、こんなことを書いていた。
「朝食は、ごはんというか、ピラフ。どうも気に入らないので、
お湯を沸かしてお茶漬けにしてみる。油っぽくてうまくはならない…」。

いま思えば、お米の料理を出してくれるなんて、
外人の口にあわせて工夫してくれたんだな、とわかるけれど、
当時は、そのあたりもよくわかってない。
日本からもってきた「お茶漬けのもと」を使ったりして、何とか食べていたが、
最初の2ヶ月で、5キロ以上、痩せてしまう。

一度、首都に帰ったあと、再び村にもどって、
今度は、農民の家に居候させてもらうようになった(写真2)。


(写真2) 一番手前の家で、家族4人とみんな川の字になって寝ていた。

それからは、ふつうにみんなと同じものを食べるようになる。
エチオピアの代表的な主食が、「インジェラ」といわれるクレープ状の薄焼きパン。
豆や野菜などを使ったカレーのような「ワット」といっしょに食べる(写真3)
だんだん好みをわかってくれるようにもなって、いつもとってもおいしい。


(写真3) ある日の食事。インジェラを手でちぎって、ワットにつけて食べる。

たまに、外人だからとパスタなどをつくってくれると、これが、ひどくまずい。
くたくたになるまで「煮込んで」あるから、コシも何もあったもんじゃない(写真4)。
やっぱり、そこで長いあいだ人びとに食されてきたものが一番おいしい。
いまでは、村で過ごしていても、いっこうに痩せる気配がない…。


(写真4) 「おごちそう」のパスタとパン。茹ですぎて鍋のかたちのまま固まってる…。

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