著書について2

栗林裕 著
『チュルク語南西グループの構造と記述  -トルコ語の語形成と周辺言語の言語接触-』

                         くろしお出版
2010.11.27 刊 ISBN 978-4-87424-506-4

概要

(「はじめに」より一部抜粋)
本書はチュルク語南西グループの語彙構造および統語構造について、概観し、理論的な諸問題を検討し、今まで明らかにされていない言語構造の記述を試みたものである。
 本書は二部より構成されている。第一部はトルコ語の複合語を中心とする文法の記述と、複合動詞と文法カテゴリーの態を巡る諸問題についての検討である。第二部はチュルク語南西グループに属する諸言語、主にアゼルバイジャン語、ガガウズ語およびカシュカイ語等の統語現象の記述が中心になる。特に、接触による言語変容の諸問題について焦点が当てられている。
  本書の目的はトルコ語の言語学的な分析を広く読者に提供し、トルコ語文法の中でも複合語の構造の分析とチュルク語南西グループの最新の資料を提供し言語接触の現状を明らかにすることにある。
 導入部ではトルコ語の歴史や文法の概略を示した啓蒙的な内容を加えて、トルコ語にあまり馴染みのない読者にも配慮した内容となっている。他に類書を見ない特徴として、前半ではトルコ語の文法構造の中でも特に複合語に焦点を当て、日本語や英語でアクセスの難しいトルコ語文献を踏まえた上で詳細な記述と分析を行い、その全体像を明らかにすることを試みた点である。また語形成の理論的分析も視野に入れて、トルコ語以外の言語で語形成論研究に携わる研究者とも共有することができるような言語資料の提供を試みた。さらに後半では近年の言語状況が明らかにされていないブルガリアのガガウズ語やイランのカシュカイ語を含む周辺言語の記述および分析と、それらと言語接触理論との関わりの解明を行った。従来、この種の言語分析では言語理論はほとんど考慮されずに、正確な文法記述のみに重点が置かれることが多かったが、本書では言語の正確な記述と共に、言語理論との関わりを意識しながら明らかにしていくことにより、記述言語学的研究だけでなく理論言語学的研究への貢献を見込む。
 本書の各章は、1996年以降の筆者の公刊論文と未発表論文および本書のために書き下ろした論文をもとに改訂を施し、さらに統一的なテーマで論じることにより構成されている。本書の第二部第五章と過去に英文で公刊した論文を日本語に直すこと及び全体を通した改訂の大部分は平成20年8月より平成21年1月までスウェーデン、ウプサラ大学 言語学・文献学部に客員研究員として滞在した折に執筆した。帰国後の3月に平成18年度~平成20年度 科学研究費補助金(基盤A 課題番号: 18251007)研究課題「チュルク諸語における固有と外来に関する総合的調査研究」(研究代表者 九州大学 久保智之)による研究成果(Contribution to the Studies of Eurasian Languages Series 16 九州大学大学院人文科学研究院)(非売品)としてまとめた。その後、さらに最新の動向を踏まえて、文献を追加し、全編を通して改訂と訂正を行った。

本書は目次等13頁及び本文349頁から構成されている。

くろしお出版へのリンク




正誤表(2011年11月1日更新)

本文中

p.54 (2) ハイフンのフォント
p.69. coz-e-bil- '描ける' ⇒ciz-
p.195 修飾文が → 修飾文を
p.208 (6) cf. ben ⇒ 削除
    I ⇒ 削除
私 ⇒ 削除
(7) cf. ben ⇒ 削除
    I ⇒ 削除
私 ⇒ 削除
p.222 (19a) glossずれ
p.226 a/a: ⇒ a:/a
p.232 (42) cf. -da ⇒ -de
p.233 (47) privjoz ⇒ prinjos
p.234 (48) prinojos ⇒ prinjos
p.247 (12) POSS1.SG ⇒ POSS.1SG
p.276 (46a) PST ⇒ COP
p.327 Bangoglu ⇒ Banguoglu 目次と章の見出しはBanguoglu
p.328 The Language ⇒ The Languages
p.331 de-agetivization ⇒ de-agentivization
p.331 Tania Kuteva. (2006) ⇒  Tania Kuteva. (2005)
p.333 press ⇒ Press
p.335 Kuribayashi 2010 papar ⇒ paper, Tukish ⇒Turkish
p.335 L8 Studies, ⇒ Studies.
p.336 A. Meillet ⇒ Meillet, A.
p.337 パルデシ (追加)  塩谷・佐々木・角田(編)
p.338 Grammarof ⇒ Grammar of
p.337 bilig sayi ⇒ Bilig sayi
p.338  57-149. ⇒ 削除
p.340 日英比較選書 ⇒ 日英語比較選書
p.344 Nakipoglu ⇒ Nakipoglu,
   同じ箇所 イニシャルと名前の順が逆のもの4カ所
p.350 (2010, ⇒(2009,

referenceのトルコ語特殊文字表記の統一

ピリオド抜け
p.195 (38)
p.208 (6)
p.210 (12)
p255 (1)
p.262 (15)-(17)
p.263-4 (21)- (23a)
p.265 (25a)
p.312 (29)
p.316 (36)

今後、訂正が見つかれば、本URLにて更新いたします。

本書でお気づきの点やコメント等がありましたらメールでご連絡いただければ幸いです。
kuri☆cc.okayama-u.ac.jp
(☆を@に替えてください)