Device Material Lab.

概 要: Overview

ナノデバイス・材料物性学 当研究分野は,林靖彦教授・西川亘助教・鈴木弘朗助教の研究室と山下准教授の研究室からなります。 両研究室は学生室が共通で,研究室行事やゼミを合同で行っていたり共通の実験室があったりしますが, 研究課題は異なります。
山下研究室では,無機半導体材料を対象として,材料の電子的基本特性を決定づける結晶欠陥 (周期的に並ぶ原子の配列が乱れたところ)の基礎的特性解明と制御に関する研究を行っています。

山下研究室
  再生可能なエネルギーの根源は太陽光のエネルギーです。我々が使用する再生可能エネルギーの最終形態や, 他のエネルギーに変換する形態は,ほとんどが電気エネルギーです。 ですから太陽光のエネルギーを直接電気エネルギーに変換する太陽電池は本質的に重要な素子であると言えます。 その太陽電池の中心となる発電部分の材料は半導体です。 太陽電池で作られた直流の電気を交流にする素子や,発電所で作られた電気を制御して使う素子やスイッチなども半導体で作られ, この素子で消費される電力を減らすことは,大きな省電力に繋がります。 また,今日では電気を用いる多くの電気製品にコンピューター(計算機)が組み込まれています。 安価なパーソナルコンピューターや高度な人工知能(AI)を可能にしたのも計算機の発達におかげですが, もちろんその心臓部(いや,頭でしょうか)は半導体です。 21世紀の明かりは半導体の発光により照らされ,多くのディスプレイも半導体の発光が利用され, 電気エネルギーを効率的に使うことに役立っています。このように電気を作るところから高度で効率的な電気の使い方まで, 半導体がその主役を担っています。このようなことが可能となっているのは,従来から使われてきているシリコン材料の高機能化や, 窒化ガリウムや炭化シリコンのような新しい半導体材料の開発によるものです。 我々の研究室では,このような半導体材料の高機能化に向けての基礎研究を行っています。
   デバイスにする半導体材料は主に結晶という,原子がきちんと整列し格子を組んだ状態のものを用います。 しかしながら,結晶の中には原子の並びが乱れたところや不純物が紛れ込んでいるところがあります。 そういうところを結晶欠陥と言います。転位欠陥というのも線状に原子の並びがずれた結晶欠陥です。 素子の微細化が進むにつれて,これまで問題にならなかったような結晶欠陥をきちんと制御する必要が出てきたり, 太陽電池の効率を上げるために悪影響を及ぼす結晶欠陥を探して低コストで低減する必要がでてきたり, 新しい半導体材料が用いられるまでには結晶中の欠陥制御法を開発する必要がでてきたりします。
  そこで,私たちは,そのような結晶欠陥の基本的特性(電子状態や構造,運動など)を調べる研究や, 欠陥の制御法を探索する研究を行っています。対象としている半導体は,現在最も広く用いられているシリコンを中心として, 近年,電力素子として実用化が進められている炭化シリコン(シリコンカーバイド)や酸化ガリウムなどです。 水素は,それ自身が不純物として半導体中に入って欠陥となりますが,他の欠陥とも様々に相互作用することから, 基礎・応用の両面から注目されています。本研究室でも,水素関連の欠陥や水素と他の欠陥の相互作用による特性変化を重点的に研究しています。 これらの基礎的な研究により欠陥の特性を明らかにしたうえで,その特性を利用した欠陥の制御法を提案するような研究をしています。 私たちはこのような研究を通して,エネルギー問題の解決に貢献したいと考えています。          

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