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EVシティコミュータのためのフェライト磁石を用いた
インホイール型アキシャルギャップモータ



開発したモータを搭載した電気自動車の走行試験(動画)

近年,電気自動車(以下,EVと略記)は,地球温暖化問題やエネルギー問題への解決策の一つとして,世界中で盛んに研究開発されており,その性能は大きく向上しています。しかし,一回の充電による長距離走行が難しいこと,そして,バッテリー価格が高いことが,EVの普及を妨げております。そこで,長距離走行が不要であり,バッテリーサイズが小さいため価格を抑えられる都市内の移動や近郊からの通勤を目的としたEVシティコミューターが注目を集めています。シティコミューターは,車内空間が狭いため少しでも空間を有効に活用するために,ホイール内部にモータを収める,インホイールモータ構造であることが望まれます。一般的にEVに用いられるインホイール型の永久磁石同期モータは,小型化・高出力・高効率といった高い性能が要求されることから,高性能磁石である希土類磁石が使われてきました。しかし,レアアース磁石の原材料であるネオジムやジスプロシウムといったレアアースは,高価であるのに加えて,近年発生したレアアースショックと呼ばれる急激な価格高騰が再度発生する可能性を持つため,レアアースのモータへの使用は望まれていません。

そこで本研究プロジェクトでは,希土類磁石の代わりにフェライト磁石を用いた安価なEV用インホイールモータについて検討を行いました。しかし,フェライト磁石の残留磁束密度は希土類磁石に比べ30%程度と小さいことから,トルクの低下が大きな問題となります。そこで,トルクの増加とインホイールモータで要求される軸方向の薄型化が望めるアキシャルギャップ型の構造を採用しました。そして,コアレス回転子構造の表面磁石型とすることで,マグネットトルクを最大化しております。さらに,固定子内側に減速ギヤを組み込むことにより,シティコミューター用のインホイールモータとして要求される仕様を満たせるモータを開発しました。

開発した5kWモータと搭載した電気自動車
 
開発した
10kWモータの外観
10kWモータを搭載した
電気自動車
 

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