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岡山大学 地球物質科学研究センター 実験地球物理学部門を中心とする地球内部物理学研究室は 地球内部を構成する鉱物の物理化学的性質に関する実験的研究を通じて 地球型惑星の構造・ダイナミクス・進化の解明を行っています。 ここでは、私たちのグループの研究方針について説明します。 |
◆目次◆ |
1.問題意識 2.アプローチ |
1. 問題意識 |
地球内部に関して、私たちは以下のような問題意識を持っています。 1. 地球形成初期において、核とマントルはどのようなプロセスによって分離したか?
2. マントル内部はどのように運動しているか?
3. 地球内部はどのくらい熱い?
4. マントルはどのような岩石で構成されているか?
5. 核はどのような物質で構成されているか? 地球の表層は地殻で覆われ、その下にマントルがあります。 6. 地球内部には水が多量に存在するか? 地球内部を地震学的手法や電磁気学的手法で観測してみると、通常の岩石では説明困難な現象があります。 |
2. アプローチ |
前述の問題意識のもと、私たちは地球内部を構成すると考えられる物質の様々な性質を決定し それを様々な地球物理学的観測と比較・対照し、地球内部に関するより良い理解を目指しています。 そして、地球内部は、超高圧超高温条件下にあるのは確実ですので 地球内部物性の研究は、このような極限状態で行っています。 前述の諸問題に対する我々のアプローチは以下の通りです。 1. 超高圧下での始原物質の溶融実験
2. 地球内部構成物の弾性的性質の決定 地球内部を探査する最も有力な手段は、地震学的手法です。 私たちは、鉱物の弾性的性質を決定し、地震学的観測から地球内部の組成と温度に関する情報を得ます。 超音波法は弾性定数決定法として最も基本的な手法です。 私たちは、静水圧下で10GPa(深さ300km)までの圧力で超音波法による鉱物の弾性定数決定を可能としています。 そして、新しいデータ解析法を開発し、より高精度な測定を行っています。 ダイヤモンドアンビル中でのブリリアン散乱は マントル最深部の圧力で弾性定数を決定する現在唯一の手法です。 私たちは、これにレーザーによる加熱と、X線回折による相同定と圧力測定を加えて マントル深部の温度圧力条件での下部マントル構成物質の弾性定数決定を行う技術の 開発を行っています。 共振法は最も高精度な弾性定数測定法です。共振法は高圧下では行うことは不可能です。 その代わり、常圧下で弾性定数の温度依存性を極めて高精度で決定することが出来ます。 また、高精度の共振法に不可欠な巨大単結晶の合成も行っています。 第3世代放射光施設のおかげで、近年新しい弾性定数測定法が可能になっています。 それは高分解能X線非弾性散乱です。この手法により ブリリアン散乱や超音波法では測定困難な物質の弾性定数を高圧下で測定しています。 超音波法以外の弾性測定法は、原則的に単種類の相に対して測定が可能です。 しかし、マントルを構成する岩石は3種類以上の鉱物から構成される複合体です。 私たちは、実験とシミュレーションを組み合わせて、複合物質の弾性の研究を行っています。 3. マントル構成鉱物の電気的性質の決定
4. マントル構成鉱物のレオロジー
5. マントル構成鉱物の状態方程式 マントル構成鉱物の体積-温度-圧力の関係を知ることは 6. 相平衡関係の決定
7. 熱輸送係数の決定
8. 流体相の物性 地球のマントルは基本的には固体だと考えられていますが 水流体やマグマなど流体相は、その高易動度・高拡散係数・高電気伝導度 低弾性率等の特異な性質の為、存在するとすれば地球内部で大きな影響を与えます。 我々は、流体相と鉱物の濡れ関係を調べ、流体相の岩石物性に対する影響を調べています。 また、X線ラマン散乱などの最先端の実験技術を用いて、流体相の構造や、ダイナミクスの研究を行っています。 9. 超高圧実験技術の開発 地球深部に相当する超高圧超高温という極限条件下で物性測定を行うことは、挑戦的課題です。
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