月経不順の女性は、骨粗しょう症の予備軍?

思春期になると,脳からの刺激で卵巣の中では卵子が育っていき,十分に成熟するとやがて排卵します.その後,およそ2週間で月経(生理)になります.月経が毎月きちんとある人では,およそ28~30日周期で排卵が起きています.

ところが10代の頃は脳の働きが未熟なために排卵が不規則になり,月経が毎月少しずつ遅れたり,2~3ヶ月も間が空いたりすることがあります.また,ひどい場合には完全に月経が止まっていることもあります.多くの女性にとって,月1回の月経の時期は憂うつかもしれません.しかし,だからといって月経が来ないまま,放っておくと,将来,取り返しがつかないことになるかもしれません.

卵子が育つにつれ,その周りの細胞から女性ホルモン(エストロゲン)が分泌されます.エストロゲンは,肉体的・精神的に女性らしさを保っていくのに必要なホルモンです.またエストロゲンには動脈硬化や高脂血症などの成人病(生活習慣病)を予防する効果もあります.さらにエストロゲンが不足すると骨がもろくなる,いわゆる『骨粗しょう症』になることがわかっています.

ヒトの骨は,見た目にはほとんど変化がないようですが,実際は体内のどこかでたえず作られ(骨形成),たえず壊されて(骨吸収)います.そのバランスがとれているから,変わりがないように見えるのです.しかしエストロゲンが不足するとその微妙なバランスが崩れて,骨の吸収が進んでしまいます.そのため長い間エストロゲンが不足したままでいると,知らない間に骨粗しょう症になってしまいます.このような場合,今は何もなくても,40~50歳を過ぎた頃からひどい腰痛や背骨の圧迫骨折などが起こりやすくなるため,なるべく早いうちからの治療が必要であると言われています.

 月経不順(生理不順)のなかでも,とくに3ヶ月以上月経のない『無月経』の場合には,慢性的なエストロゲンの不足が問題になります.一般にストレス,受験,ダイエットによる急激な体重減少,過度のスポーツによって無月経が起こるといわれています.それらの原因を無くしてしまえばよいのですが,なかなか,そう簡単にはいかないものです.その場合には産婦人科を受診して,無月経の原因と骨粗しょう症の程度を確かめた後に,ふさわしい治療を受けることをお勧めします.

(2004年11月3日)