思春期の月経痛は,放置しても自然に治る?

思春期には月経(生理)が発来しますが,はじめは不順なことも多く,痛みや,量も一定しないこともあります.これが,次第に毎月,規則正しく月経がおこりだすと,月経の度に,月経痛(生理痛)がひどくて,鎮痛剤を飲んでも効かない,学校も休まなければならないなどの月経困難症が表れる方もいます.また,月経痛に加えて月経以外の時期にも慢性の腹痛を訴える場合もあります.

思春期の月経困難症の原因としては,以前より,子宮発育不全,子宮頚管狭窄,位置異常など,子宮の問題や,思春期特有の精神的な不安定さやストレスなどが挙げられており,実際,成長とともに月経痛も軽くなる場合もあります.

 一方,20歳代,30歳代の方では,月経困難症の代表的な原因は,子宮内膜症や子宮筋腫です.では,本当に,思春期の月経困難症は,自然に治るのでしょうか?海外では,慢性の下腹部痛をもつ思春期女性の45-70%が子宮内膜症との報告もあり,20-21歳では54%,11-13 歳でも12%に子宮内膜症が確認されたとの報告もあります.また,思春期の子宮内膜症の症例の64%が月経周期に伴う疼痛を訴えますが,36-90%は,月経周期に伴わない疼痛も訴えるとの報告もあります.

 月経が起こり始めたら,月経日記をつけたり,基礎体温を測ったりなど,ご自身の月経や月経時の症状がどのように変化していくか,関心を持つことも大事です.もし,痛みがだんだんと強くなってきた,市販の痛み止めでは効かない,日常生活で支障をきたす,などがあれば一度,相談されることをおすすめします.

(2004.4.28)