研究概要

カルシウム情報伝達系解明のための分子プローブの合成


カルシウムは骨格の構成要素としてだけでなく、ホルモン分泌や神経伝達物質の放出など様々な生理機能の 調整において重要な役割を担っている。体内でカルシウムイオンの放出を誘導するセカンドメッセンジャーとし てイノシトール三リン酸が知られているが、NAADP(Nicotinic acid adenine dinucleotide phosphate、左図)がIP3 と同じくセカンドメッセンジャーとして働くことが近年分かった。しかし、そのメカニズムや機能などについて、 まだ解明されていない点が多い。
まず、NAADP の三次元構造と類似した立体構造を持つ化合物群を設計し、市販の化合物群をスクリーニング することで NAADP のアンタゴニストである Ned-19 を発見した。しかし、用いた Ned-19 はジアステレオマー 混合物であったので、立体異性体を作りわけ、それらの活性と作用機構の詳細を明らかにしました(Nat. Chem. Biol., 2009)。 現在、構造と活性の相関を検討中です。


糖質誘導体の効率的合成とその医薬への応用


糖鎖は生体内で様々な認識を担う分子として注目を集めている。しかしその詳細な機能は構造の複雑さ、 および多様性のために未だ不明な点が多い。そこで、化学的方法だけでなく、酵素の利用も含め、糖や糖を含 む化合物のライブラリー構築を行い、高機能を有する生体適合材料の探索を行っている。その一例として、自 然界には量的には非常に少ないが希少糖と呼ばれる糖が幾つか存在する。しかし、これらの生理活性について は十分解明されていない。我々は、この希少糖の新規誘導体の合成を行っています。


各種生物活性評価法を用いた生物活性物質の探索と利用


種々の生物活性評価法を開発し、特殊な環境(例えば熱帯産)の植物をはじめ、我々の身の回り のありふれた生物材料などからも生物活性物質を新たに探索する。また、生物間、特に昆虫間、昆虫・植物間、 また植物間相互作用に関与する生理活性物質(情報化学物質)、 例えばフェロモン・カイロモン等の昆虫行動制御物質や他感作用物質などを見いだし、その構造及び詳しい生理作用や機能を解明し、 新規生物資源としての開発と有効利用の可能性を探っています。


準備中

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