ライフサイクルアセスメント(LCA)とは、資源の採掘から廃棄まで、対象とする製品・サービスに係る物質・技術の連鎖を一貫して捉え、資源消費量や環境への排出物質を定量し、その環境への影響を評価する手法である。製品の「ゆりかごから墓場まで」(Gradle to grave)について評価, そして製品に関する[資源採取]から[製造]、[使用]、[廃棄]、[輸送] の全ての過程で、環境影響を定量的、客観的に評価する。環境負荷低減のための意思決定ベースとなる事からここではLCA手法を用いて様々な研究に取り組んでいる。以下、研究事例を示す。

[1] 脱炭素化に向けた廃棄物由来バイオガスのごみ収集への有効利用に関する研究

廃棄物系バイオマスをメタン発酵する施設の多くが、再生可能エネルギーとして生成バイオガスからの発電を行っているが、一方で廃棄物系バイオマスの収集を軽油トラックに頼っている。本研究では,廃棄物系バイオマスの収集過程も含めたメタン発酵システム全体のCO2排出量を、バイオガスを利用した天然ガス(CNG) トラックや生成電力を利用したEV トラックを用いる場合について計算した。その結果,CNG トラックとEV トラックの走行時のCO2排出量は,軽油トラックに比べてそれぞれ年間10.0,15.3 tCO2少なくなったが,バイオガス濃縮充填設備や車両用電池などの機器製造時のCO2排出量を含めると,総排出量では軽油トラックが最も少なくなった(右図, 出典:山下温大,宗村健太, 藤原健史, 哈布尓, 環境システム計測制御学会論文誌,第28卷 第2-3合併号 ,19-27 (2023))。