学生の皆さんへ
この度は我々の研究室HPに訪れていただき大変ありがとうございます。私は2006年に京都大学医学部医学科を卒業し、呼吸器内科医として勤務していました。その中でいろいろな患者さんに出会い、その中で課題や疑問を感じ、2012年から本格的に研究を行うに至りっています。ここではその経緯や私の研究モチベーションを紹介して、研究を取り組もうか?将来どうしようか?等々で悩んでいる医師や学生の皆さんの判断の一助となればと思います。
皆さんはgefitinibというEGFRチロシンキナーゼ阻害剤をご存知でしょうか?私が医学部の学生中に本邦で世界に先駆けて承認された薬剤です。劇的に効果がある患者さんがいる一方でまったく効かない患者さんもいるのですが、当初はその理由がわかりませんでした。それが2004年に、劇的に効いた患者さんの腫瘍組織の遺伝子解析を行ったところ薬の標的であるEGFR遺伝子に変異があり、この変異が発がんや薬剤の効果に関わることが明らかになりました(参考文献1-3)。これらは非常に簡単な実験系の論文ですが、肺癌治療を大きく変えた重要な論文です。マウスや細胞だけでなく、やはり実際の患者さんで証明されたことが大きいわけです。このことを知ったとき私はまだ研修医でしたが、非常に感銘を受け、自分も「gefitinibが著効するような患者さんに出会ったときにEGFR遺伝子変異を同定出来るようになりたい!」という想いで、研究に取り組み始めました。そういった中で2012年にがん免疫療法である抗PD-1/PD-L1抗体の臨床効果が報告され(参考文献4,
5)、2018年に京都大学の本庶先生がノーベル医学生理学賞を受賞するに至りました(参考文献6)。しかしながらEGFRチロシンキナーゼ阻害剤のように著効する患者さんとまったく効かない患者さんが存在します。このことから患者さんの身体の中でマウスや細胞の実験だけではわからない、もっと本質的なものが眠っているはず…と思いこの分野の研究を行っています。臨床の先生方には忙しい日常臨床の中でもそういった疑問を持って、是非研究に興味を持っていただきたいです。そして医師でない方も普段はあまり触れられない臨床での課題・疑問に沿った研究ができる環境にあります。そのような研究に興味があれば是非私共の研究室の門を叩いてください!
参考文献
1. Lynch TJ, et al. NEJM 2004.
2. Paez JG, et al. Science 2004.
3. Pao W, et al. PNAS 2004.
4. Topalian SL, et al. NEJM 2012.
5. Brahmer JR, et al. NEJM 2012.
6. Ishida Y, et al. EMBO J 1992.
大学院生募集
がん研究やC型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルスに関する
研究を行いたい大学院生を募集しています。
(博士取得を目指している方歓迎)
連絡を頂ければ個別の教室説明会を随時開催致します。
教室説明会を希望する方は事前連絡をお願いします。
(連絡先:冨樫 庸介)
*メールアドレスの@前後の半角スペースは削除してください
募集案内ポスター(JPG形式)
修士課程全体のオープンキャンパスにも参加しています。
学生に対するJST創発的研究のリサーチアシスタント制度について
JST 創発的研究リサーチアシスタント制度による支援を大学院生が受けられる場合がありますので、
入学希望の方は冨樫までご一報ください。
大学院生希望者の為のQ&A
Q. 腫瘍微小環境学は医学部なので、医学部以外の学部出身者は応募できませんか?
A. 当研究室は医学部ですが、病気で苦しんでいる患者さんを救うために生命科学を学び役立てたいと思っている方は、学部を問わず歓迎いたします。現在もこうした志を持った、理部・工学部・農学部などの出身の研究室員が、熱く研究に取り組んでいます。
Q. 一度見学に行くと断りづらい雰囲気になりませんか?
A. 教室見学では、当研究室の教授、担当教員が随時研究内容の説明、研究室案内をさせていただきます。その後、皆さんに年齢的にも近い大学院生から、実験の日々の研究室での生活の様子を聞くこともできるので、気軽にお越しください。
Q. 新しい若い教授の体制で大丈夫ですか?
A. 冨樫教授は30代で100編以上の論文を執筆し、今までも多くの学生を指導しています(Nat Immunol 2020やImmunity 2020など)。是非若さを確かめに来てください!
Q. 就職はどうでしょうか?
A. 以前の学生さんの中には研究を継続する人もいれば、製薬企業などに就職する人もいました。冨樫教授は製薬会社の講演等を数多くしていますので、様々な繋がりがあります。
Q. 患者さんの解析とありますが、医師でなくても大丈夫でしょうか?
A. 医師ではない教員もおり、医療をする訳ではないので問題ないです。逆に医学系ならではの研究が可能で、医師もいますので普段は経験できないような医療現場が垣間見えるかもしれません。
Q. 専門知識や経験が全くないのですが大丈夫でしょうか?
A. 担当教員がゼロから指導いたします。ただし、、研究に対する情熱を持っている方に限ります。はじめに、細胞培養やPCRなどの基本的な技術を修得し、与えられたテーマに取り組めるだけの十分な体力をつけてもらいますので、専門知識や経験の有無は全く心配ありません。実際、こういった経験のない大学院生が活躍しています。
|