事業概要

② 妊孕性復元による牛繁殖性改善技術調査研究事業
* 子宮妊孕性復元物質の牛繁殖性向上検証事業
*子宮妊孕性復元物質投与による受胎率向上技術確立事業
今の牛の繁殖の問題点
我が国では牛の繁殖の多くは、人為的に行われています。凍結融解精液を子宮内に注入したり受精卵を子宮内に移植したりして、子牛を生産しています。
近年、この牛の繁殖がうまくいかなくなってきています。様々な要因が考えられていますが、詳しくは分かっていません。
牛の繁殖性を表わすデータとしては、「受胎率」と「空胎期間(分娩間隔)」がよく用いられています。「受胎率」は授精(移植)したウシのうち何頭が妊娠したか? もしくは、何回の授精で受胎したかを表す指標で、「空胎期間(分娩間隔)」は牛が分娩してから妊娠するまでの期間(牛が分娩してから次に分娩するまでの期間)を表わす指標です。
近年はこの「受胎率」が低下し、「 「空胎期間(分娩間隔)」が延長する傾向が続いています。
牛の繁殖性が低下すると、子牛の生産数減少や、牛乳生産量低下を引き起こし、畜産物の価格上昇を招きます。
ゆえに、牛の繁殖性の低下は消費者に直接関係する非常に重要な問題と言えます。
老化細胞とは?
体の中でダメージを受けた細胞は細胞分裂を停止します。これらの細胞は除去されますが、場合によって除去されずに残ってしまいます。このように、細胞停止した組織に残った細胞が「老化細胞」なのです。 この老化細胞は様々な物質を分泌して、周囲に炎症反応を引き起こし、様々な病気を発生させることが明らかとなっています。
老化細胞と妊孕性
分娩後の子宮内膜の老化細胞の除去を阻害すると、その後の母体の妊娠に必要な能力(妊孕性)、すなわち子宮の妊娠能力が低下することが示されています。
老化細胞と妊娠
妊娠はドラマティックな変化を体に引き起こします。その中でも特に子宮内では胎子が成長するための様々な変化が生じます。これまでの研究の中で妊娠中の子宮内膜の中に老化細胞が出現して妊娠の進行とともに増加していることが分かりました。さらに、分娩後、この老化細胞は速やかに除去されることも分かりました。
このプロジェクトでは
このプロジェクトでは分娩後、早期にこの老化細胞を子宮から除去することによって、子宮の回復を早めて、妊孕性を回復する技術を開発することが目的です。
その結果、牛の受胎率向上や空胎期間(分娩間隔)短縮が可能になります。