

①子宮妊孕性復元物質の探索事業
この事業では分娩後子宮内膜に残存する老化細胞を効率的に除去出来る薬剤の探索を行いました。
子宮内膜間質細胞をウシ子宮より採取し、人工的に老化細胞を作製しました。
作製した老化子宮内膜間質細胞に、正常細胞の生存に影響をおよぼさない濃度のセノリティクス薬剤を4種選択して培養液に添加し、老化細胞除去能力を検討しました。
その結果、”セノリティクス薬剤C”のみが老化細胞を大幅に減少させる効果を示しました(下図参照)。

②子宮妊孕性復元物質の牛繁殖性向上検証事業
「①子宮妊孕性復元物質の探索事業」において、ウシ子宮内膜老化間質細胞の除去に効果を示した、 セノリティクス薬剤を分娩後の黒毛和種雌牛子宮内に投与し、その効果を検討しました。
分娩後、7-10日および14-20日後の間にそれぞれ1回、子宮内に”セノリティクス薬剤C”を投与しました。
投与後に発情を示した牛に胚移植を実施し、その牛が妊娠するまで繁殖を継続しました。
なお、本試験では「空胎期間=妊娠が確定した周期の発情月日-分娩月日」としています。
下の表に示されたように、セノリティクス薬剤低濃度投与区(50μM)において、空胎期間および妊娠に要する胚移植回数が無投与区よりも有意に減少しました。 特に空胎期間は最大70日も短縮されました。
