DeepSky 構想 (自律高空帆走発電プラットフォーム)
凧型の飛行体を使って高々度の強い風力を捉え,その風力で浮体を曳航して人工水流を作り,浮体に搭載した水流タービンで発電する次世代の洋上風力発電です.従来の風車のように固定設置せず,洋上を自由に帆走しながら発電するため,これまで取り出せなかった膨大な遠洋風力を取り出せるようになります.また,固定設置しないため漁業と競合することもありません.風力よりもエネルギー密度の高い水流に変換するため,風車よりもコンパクトで小型の水流タービンで巨大な風車と同等の発電が可能です.巨大な風車を支えるタワーや係留アンカーも不要です.
自律高空帆走発電は,無人で長期稼働が可能なドローン船であり,その高い機動性を利用すれば,発電以外の様々な用途にも活用できます.例えば,以下のような活用が可能です.
- 気象・海象観測機器を搭載することで,台風や津波を洋上でいち早く捉え,様々な災害から国土を守る早期防災警戒システム
- 高々度の飛行体に監視カメラを搭載することで,高所から広範囲を監視し,海上保安や不審船の監視など,危険な任務を24時間こなす監視システム
- ソナーや観測機器を搭載することで,海底に眠る希少資源を探査したり,気候変動に伴う海洋環境・生物環境の変化を無人で長期観測する観測システム
- 海ゴミを無人で自動回収するシステム
- 飛行体を高々度のアンテナとして用いた洋上インターネット網
- サーバーを搭載することで,海水による自然水冷式の洋上クラウド
- 船舶の完全電動化を促進し,海運の脱炭素化にも貢献する,洋上の給電ステーション
自律高空帆走発電船を排他的経済水域内に多数配備し,上記のような様々な洋上インフラの共通プラットフォームとして機能させることで,ほとんど活用されていない排他的経済水域における未利用の海洋資源や海洋ビッグデータを高度に活用しようとするのが「DeepSky 構想」のコンセプトです.それによって,エネルギー自給率100%の達成,持続可能社会の実現をめざします.
ダウンロード資料等
自律高空帆走発電によるDeepSky構想.pdf
Autonomous Kite-Sailing Power Generation.pdf
関連文献等
「帆走式洋上風力発電の提案とエネルギー取得性能評価」
科研費,基盤研究(C), 2019~2021
「自律高空帆走発電による海洋発電立国」
比江島慎二; クリーンエネルギー,日本工業出版, 29(2), 25-30, 2020
「自律高空帆走発電用パラフォイルカイトの空力特性試験と飛行シミュレータの構築」
比江島慎二他;風工学研究論文集,Vol.26, 86-95, 2020
「自律高空帆走発電の提案とそのエネルギー取得性能の試算」
比江島慎二他;日本風力エネルギー学会論文集,137, pp.10-21, 2021
自律高空帆走プラットフォームの動画紹介1
自律高空帆走プラットフォームの動画紹介2