氏名萩谷 英大 先生
所属岡山大学学術研究院医歯薬学域 感染症学分野 教授
岡山大学病院 感染症内科/感染制御部
01
感染症科を選んだ理由を教えて下さい
医学生だった頃、大学の研究室配属の制度を利用してミャンマーに3か月間留学し、熱帯病に興味を持ったことが一番のきっかけです。帰国後、メンターの先生にそのことを伝えたら、「熱帯病なんて日本にないんだから院内感染症をやりなさい」と言われて、いろいろと調べているうちに面白くなり、夢中でやっているうちに今に至るという感じです。
02
普段どのような仕事をしていますか
簡単に言うと「感染症診療医×感染制御医」です。院内の感染症診療としては以下のABCに要約されます。
- A:Antibiotics 抗菌薬適正使用の推進(特定抗菌薬の管理・院内採用薬の整理)
- B:Blood culture 血液培養陽性患者の診療支援
- C:Consultation コンサルテーション対応(Doctor's Doctorとして各科の感染症診療支援)
外来ではHIV診療、難治性感染症の診断および治療、そしてワクチン接種(渡航・脾摘後・移植関連)が主な仕事です。また、感染制御にかかわる仕事としては、感染制御部の一員として、感染防止技術の普及・啓発(手指衛生、標準予防策の教育)、職業感染防止活動(体液曝露対応・ワクチン接種)、感染対策マニュアルの作成・病棟ラウンド、アウトブレイクの監視、流行性疾患のモニタリングなどをやっています。
03
感染症科になって良かったと思うことはなんですか
もともと特定の臓器にこだわる医師になるつもりはなかったので、感染症診療を通して全身の様々な病気にふれる機会があることは医師個人としてよかったなと思います。また、ミクロ(微生物)からマクロ(疫学)まで、さらには基礎医学から臨床医学まで、幅広い視点で物事を考えることが多く、自分の興味・関心に合致していると感じています。
04
大変だったことはありますか
医学生から研修医の頃は身近なところにロールモデルがおらず、何をどのように勉強してキャリアアップしていけばいいのかわかりませんでした。本や勉強会などでがむしゃらに勉強をして、"見えない溝"を埋めようと必死だったと思います。でも、わからないことが分かるようになる、できないことができるようになるという体験を積んできて、今ではありがたい経験だったなと思っています。
05
キャリアに悩む若手医師に一言お願いします
感染症科医が他の専門医と圧倒的に異なることは、「感染症には疫学がある」ということだと思います。一つの病院の中でも、一般病棟と血液内科病棟やICUでは戦うべき相手(微生物)が異なりますので、そのことを意識しないと治療がうまくできません。また、すべての病院は独立して医療をやっているわけではなく、様々な病院・環境(近くのクリニックから遠くの総合病院、時には海外の医療機関まで!)とつながっています。それをイメージしながら診療に当たらないと、やはり適切に診断できなかったり、十分な感染対策がとれないことがあります。難しいと思うところからもしれませんが、やってみたら面白いですよ!
感染症専門医はまだまだ不足しています。新型コロナのパンデミックを経て、一時的に注目された存在ではありますが、まだまだ仲間が必要です。感染症の専門医を目指す人を絶賛大募集していますので、気軽に声をかけてください。そうそう、基本的に感染症科は入院ベッドを持っていないことが多くコンサルテーション診療を生業としているため、当直もオンコールもありません。とっても女性医師向きの診療科だと思っています。
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