教育

工学部 量子化学

原子や分子の世界における電子の振る舞いがどのようなものであるかを量子論を基にして解説してゆきます。前半では量子化学の考え方のイメージをつかむこと、およびどのように使えるのか、何ができて何ができないのかを、分子の形と軌道やそのエネルギーとの関係を通して解説します。後半は、原子の世界を記述する量子力学の基礎を学び、シュレーディンガー方程式や波動関数などの意味を知ることで、原子の世界を支配している諸原理について考えます。

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Visualizing Atomic Orbitals
Hydrogen Orbitals
LCAO Approximation to Bonding Molecular Orbital in Hydrogen

量子化学と他科目(学問分野)との関連

量子化学の本の大半を占めるシュレーディンガー方程式(その解が波動関数)では、偏微分、微分方程式が多く出てくるため、数学における微分積分が最も重要と思ってもなんら不思議はありません。

量子化学とは、原子のつながりを担う化学結合を、数式で説明するものです。化学結合は、分子の「かたち」を形成し、その「かたち」は、分子の「機能」に直結します。
この「かたち」を、数学的に記述する学問を群論といいます。群論とは、数学における線形代数と非常に密接な関係があります。線形代数とは、行列と行列式のことです。例えば、永年方程式はまさに行列式です。

本学科授業科目の量子化学では、群論までは扱いません。しかし実際には、位相が合うと結合性軌道(分子軌道)を形成位相が合わないと反結合性軌道(分子軌道)を形成と学習しています。このような分子軌道、さらにσ軌道、π軌道といったものは、すべて「対称性」で説明され、その「対称性」は、数学的には行列式で表すことができます。

無機化学で学習する、分子の構造と結合において、同様に「対称性」の話が出てきます。これも数学的に行列式で表すことができ、すなわち、群論です。

このような観点から、少なくとも分子の「機能」を担う「かたち」が、量子化学で記述され、それは群論につながっている、ということを知っておいてください。

量子化学と群論について、参考となる書籍を挙げますので、興味のある人は読んでみてください。