研究開発の概要

省エネ・省資源型の新しい化学触媒プロセス

工業化を見据えた化学触媒の開発を、産業界等と連携して進めています。

新エネルギー・産業技術の基盤開発

エコイノベーション(環境・人間重視の技術および社会革新)につながる、新エネルギー等の基盤技術開発を進めています。

石油樹脂製造触媒の開発

石油樹脂とは、ナフサから得られる C5 留分(ジシクロペンタジエン等)あるいは C9 留分(インデン等)を重合して得られる樹脂である。石油樹脂は、これらの留分をモノマーとして用い、触媒による重合反応により、得ることができる。熱硬化性の石油樹脂を成形する方法として、RIM 成形法がある。RIM とは Reaction Injection Molding の略であり、日本語では反応射出成形と呼ぶ。RIM 成形においては、成形用の金型に、触媒を含むモノマー液と、触媒の活性化剤を成分とする液などを注入する。この注入直前に、複数の液体成分を混合し、金型内で触媒反応(モノマーの重合反応)を起こし、樹脂化と同時に成形を完了する。

ジシクロペンタジエンをモノマーとする RIM 成形法は、射出成型法などと比べ、成形時に多量の熱や圧力を必要としない、省エネルギー型の樹脂成形法である。さらに石油樹脂そのものも、汎用エンプラ並みの強度を有しつつ、本質的に軽量で(比重が軽い)、サーマルリサイクルが可能なことなとど、環境調和型の特性をもつ。石油樹脂の RIM 成形法はさまさまな要素技術の集合体であるが、中核技術のひとつかがモノマーの重合を起こす触媒(錯体触媒)技術である。

(公財)ちゅうごく産業創造センター 新産業創出研究会

「錯体触媒法による次世代石油樹脂の新たな実用的製造技術の開発」(研究代表者:押木俊之)
2011年5月-2012年3月

  • 石油樹脂の新たなグレード(次世代石油樹脂)を実用化するための錯体触媒法を取り上げた。企業側のニーズ((次世代石油樹脂の実用化)につながる触媒技術に関して、大学のシーズ(錯体触媒の製造と解析技術)を組み合わせることにより、産学共同で研究開発を進めた。特に、RIM 成形用の錯体触媒を実用的に製造するための技術開発に絞って検討した。

(公財)ちゅうごく産業創造センター 新産業創出研究会

「超耐熱性石油樹脂製造用の次世代錯体触媒の開発」(研究代表者:押木俊之)
2012年5月-2013年3月

  • 石油樹脂の新たなグレード(超耐熱性石油樹脂)を実用化するための錯体触媒を取り上げた。企業側のニーズ(次世代石油樹脂の実用化)につながる触媒技術に関して、大学のシーズ(錯体触媒の製造と解析技術)を組み合わせることにより、産学共同で研究開発を進めた。特に、RIM成形用の錯体触媒を実用的に製造するための技術開発に絞って検討した。

(公財)ちゅうごく産業創造センター 新産業創出研究会

「超耐熱性石油樹脂製造用の次世代錯体触媒の開発」(研究代表者:押木俊之)
2013年6月-2013年3月

  • 石油樹脂の新たなグレード(超耐熱性石油樹脂)を実用化するための錯体触媒を取り上げた。企業側のニーズ(次世代石油樹脂の実用化)につながる触媒技術に関して、大学のシーズ(錯体触媒の製造と解析技術)を組み合わせることにより、産学共同で研究開発を進めた。特に、RIM成形用の錯体触媒を実用的に製造するための技術開発に絞って検討した。

革新的加水分解触媒

ニトリルやエステルの水和反応は、化学反応式の上では原理的には副生物が全くでないE-ファクターが極小の理想的な化学反応である。これらの水和反応は、古くから酸やアルカリを用いる方法が広く知られているが、前述のとおり後処理工程に多大な問題を抱えており環境面からも、経済性の点からも望ましくない。これに対して、酵素を触媒として用いる方法が実用化され、酸やアルカリを使用する際の問題を解決し、工業的な加水分解プロセスが実現している。

人工触媒を用いる方法は原理的に優れた点が数多くあり、銅系の固体触媒が工業化されているが、酵素法の優位性は明らかである。新規な人工触媒によるアミドの製造研究は、酵素法があまりにも優れているようにみえるが故に、世界的にほとんど実施されておらず特許的な制約も少ない。そのため、実用的な人工触媒法の開発は、工業的に重要なアミド製造の新プロセスへ直ちに展開することが可能である。

アミドや脂肪酸の需要は、今後の超高齢化社会の進展と、脱石油の新エネルギー時代の到来を前にして、さらに拡大していくことが考えられ、環境調和型の新製造法の確立は化学産業に大きく貢献するとともに環境調和型の社会の実現に寄与する。

日本学術振興会 科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金) 基盤研究C

「メソポーラスな有機シリカを担体とする新規な固体酸触媒(固定化錯体触媒)の開発 」(研究代表者:押木俊之)
2012年4月1日-2015年3月31日

  • 科学研究費補助金データベース
  • 【有機シリカを担体とする新規な固定化ルテニウム錯体触媒の開発:環境調和型合成への展開】中性条件下、水中で機能する新たな固定化錯体触媒の開発は、(1)環境対応性,(2)錯体触媒の高選択性, (3)回収容易な固体触媒,の観点から、社会的にも重要な課題である。本研究では、独自に開発した水中機能型ルテニウム錯体触媒を、類似官能基を有するメソポーラス有機シリカへ固定する。触媒構造と活性相関を解明し、ニトリル水和反応において長寿命な触媒を創製する。さらに、新たに合成した固定化錯体触媒(固体酸)について、酸が触媒する他の有用な反応への適用性を探索し、硫酸を代替する環境調和型固体酸触媒の新領域を開拓する。

JST 研究成果最適展開支援プログラム A-STEP FS(探索タイプ)

「アクリルアミド製造用の錯体触媒を長寿命化する、新たな固定化方法の開発」(研究代表者:押木俊之)
2011年12月1日-2012年7月31日

  • 世界年産60万トンのアクリルアミド(廃水処理凝集剤)は、本邦開発の固定化生体触媒法で、その大半を生産中である。生体触媒法は、生体維持に多量の水が必要なので、必ず廃水が出る。一方、私が開発した錯体触媒法は、必要最小限の水でアクリルアミドを得る原理的優位性があり、次世代技術として産業界の注目が高い。錯体触媒の活性を向上し、触媒寿命を延ばす触媒固定化方法の開発が、技術移転への最大の課題である。そこで、触媒を固定する担体用樹脂の表面構造に着目する新たな固定化方法を開発し、触媒経時劣化を抑制し、触媒回収と再利用を実現する。そして、製品となる50%アクリルアミド水溶液を直接製造する新法に目処をつける。

NEDO エコイノベーション推進事業(探索研究)

「化学触媒によるアクリルアミド次世代低炭素型製造法の可能性調査」(研究代表者:押木俊之)
2009年6月15日-2010年2月28日

JST シーズ発掘試験(A)

「バイオディーゼルを高速1段製造する実用的触媒法の開発」(研究代表者:押木俊之)
2008年07月-2009年02月

JST シーズ発掘試験(A)

「廃水ゼロでアクリルアミドを製造する革新的触媒法の開発」(研究代表者:石塚章斤)
2008年07月-2009年02月

NEDO 産業技術研究助成事業(若手研究グラント)

「水-有機多相系を制御する新規錯体触媒プロセスによるシンプル水和反応の開発」(研究代表者:押木俊之)
2006年12月1日-2010年11月30日

JST つなぐしくみデータ補完

「新規高活性錯体触媒を用いるニトリルの加水分解による革新的アミド製造技術」(研究代表者:押木俊之)
2007年10月1日-2008年2月29日

JST シーズ育成試験

「新規な超高活性ニトリル水和触媒の開発と応用」(研究代表者:押木俊之)
2005年07月-2006年02月

ケミカルバイオリファイナリー技術開発

「ケミカルバイオリファイナリー」技術の中核となる、革新化学触媒による自動車素材の低炭素型製造法を開発する。大規模な新素材製造プロセスにおける抜本的低炭素化の実現は、我が国に課せられた緊急の課題である。本研究では、LCA(ライフサイクルアセスメント)に配慮した低炭素社会を視野に、革新的化学触媒技術の開発を進める。低炭素化とは、炭素と水素からなる石油資源から、炭素と水素そして酸素を含む再生可能なバイオマス資源への原料大転換であり、石油化学によるものづくりの世紀(20世紀)からの真の脱却である。

岡山バイオマスイノベーション創出研究委託事業

「ケミカルバイオリファイナリーTMによる岡山県産セルロース系バイオマス資源からの有用ケミカルズ製造基盤研究(フェーズI)」(研究代表者:押木俊之)
2010年09月01日-2011年2月28日

県内企業から大量供給される「バイオナノファイバー」の高付加価値化に資する、有用ケミカルズ製造の基盤技術を開発する。フェーズIでは、県庁推奨の微小繊維状セルロースを対象に、独自のケミカルバイオリファイナリーTMの適用可能性試験を実施する。

岡山県 特別電源所在県科学技術振興事業

「ケミカルバイオリファイナリー:LCAに配慮した低炭素型化学触媒によるものづくり」(研究代表者:押木俊之)
2009年6月22日-2010年2月26日

ケミカルバイオリファイナリー:岡山大学より商標登録出願済み

岡山県産業振興財団 平成20年度研究プロジェクト支援事業(若手研究者への支援)

「低炭素化社会を先導する革新的アルコール変換触媒の開発」(研究代表者:押木俊之)
2008年6月9日-2009年3月13日

水素製造触媒の開発

新たに合成したイリジウム錯体が、高活性なギ酸分解触媒として機能することを見いだした。この触媒系は、高濃度の98%ギ酸から、直接水素をとりだせる特徴をもつ。この触媒系は、高濃度の98%ギ酸から、無溶媒条件下で、アミンなどの添加物を使わず、直接水素をとりだすことができる。

チャレンジ研究開発応援事業研究委託事業(岡山県)

「高濃度ギ酸を水素源とする次世代燃料電池の基盤技術開発」(研究代表者:押木俊之)
2011年09月26日-2012年2月28日

常温で液体の高濃度ギ酸を直接型燃料電池の燃料とする、次世代燃料電池の基盤技術を開発する。鍵は、高濃度ギ酸から高効率で水素を得る高性能触媒の開発である。本研究では、次世代ギ酸燃料電池の実現を視野に、独自の革新的触媒法の長寿命化開発を進める。

JSTシーズ発掘試験(A)

「バイオ水素を製造する「創エネ型」化学触媒プロセスの開発」(研究代表者:押木俊之)
2009年7月24日-2010年3月31日

低炭素社会づくりに資する非枯渇資源からのクリーンエネルギー確保は、我が国に課せられた緊急課題である。本課題では、代表研究者が進めてきた加水分解触媒の開発中に、偶然に発見した新規脱水素触媒をバイオ水素製造へ適用し、「創エネ型」化学触媒プロセスの基礎を構築する。