国際農村開発学研究室
〒700-8530 岡山市北区津島中 1-1-1 岡山大学農学部環境生態学コース
1)過疎政策と住民組織の日韓比較
2)地域資源管理と内生的住民組織論
3)公共事業による環境問題の日韓比較
4)ベトナム地域研究(主に農村地域)
1)過疎政策と住民組織の日韓比較 日本と韓国における過疎地域の問題を、組織論的な地域開発の視点からアプローチし、過疎地域の再生のための社会的な条件の解明に努めてきました。具体的には日本と韓国の過疎地域を対象に、地域側の対応を内生的住民組織の変容と地方行政の役割に着目し、「内生的住民組織論」の枠組に依拠しつつ、それぞれの過疎地域における開発主体の実体と形成メカニズムの究明に努めています。

内生的住民組織の存立基盤(金、2003)
2)地域資源管理と内生的住民組織論
森林、干潟、湖など様々な自然資産には本来的な所有者がなく、地域住民の誰もが利用することのできるものが多くあります。「共有資源」と呼ばれる、このような自然資産の利用と管理には、「見えざる手」のような市場経済の仕組みがうまく機能せず、個々の生活を良くするための努力が環境破壊につながってしまうケースも少なくありません。自然資産を持続可能な資源とするためには、地域コミュニティによる利用と管理が不可欠であり、健全な地域コミュニティの核を成すのが「内生的住民組織」です。日本・韓国・中国・ベトナムの農村地域を歩く!見る!聞く!ことで、地域コミュニティによる地域資源の持続的管理の在り方を解明しています。

授業(学部)の内容とその方法
私は大学教育の目標の一つは「自分の目で世界をみる」能力を涵養することだと考え、「世界に視野を広げる教育」になるよう心掛けています。地域開発に関する多様な事例を紹介しながら、日本とアジアの地域開発と環境問題を考えます。
大学院生の教育
「様々な地域で、多様な階層の人々」と話すこと、現場から学ぶこと、つまり「フィールドワークを重視する教育」を実践しています。
研究と教育を両立させるため、現在取り組んでいる研究の内容をなるべく授業に導入し、研究と教育との相互のフィードバックを心掛けています。



1)農山村における再生可能エネルギー
2)農村における女性の社会参画
1)農山村における再生可能エネルギー
日本は天然資源に乏しく、エネルギーの大部分を化石燃料の輸入に依存しています。そのため、再生可能エネルギーの導入はカーボンニュートラルの実現とエネルギー安全保障の両面から不可欠です。再エネは固定価格買取制度が始まって以降、太陽光発電を中心に急速に普及してきましたが、無法図な農地転用や森林伐採が社会問題となるケースも出てきています。
環境社会学分野では、こうしたコンフリクトの背景に、再エネ導入に伴う地域内外の受益と受苦の不均衡が存在することが指摘されてきました。東京に本社を置く企業が農村で再エネを導入すると、利益のほとんどは東京へ流れるのに対して、様々なリスク(例:生態系・景観への影響、災害時の被害)は再エネの立地する地域の人々や社会が負担することになってしまいます。
しかし、再エネを一律に拒否するだけでは、カーボンニュートラルは実現できません。
そこで、私はどのような再エネ事業であれば、農山村にとっても望ましいかを研究しています。
これまで中国地方の小規模な水力発電(小水力)をテーマに、地域外の企業がコミュニティ組織などと連携している事例への調査から、企業と地域との連携が成立した経緯や現状を明らかにしてきました。最近では、瀬戸内地方を中心に広がりつつある農業用ため池への太陽光パネル設置の現状も調査しています。


2)農村における女性の社会参画
1990年代以降、農村女性は様々な場面で目覚ましい活躍を見せています。しかし、社会の意思決定の場における女性の参画は未だ十分に進んでいるとはいえません。
私は主に土地改良区と農業協同組合(JA)における女性の参画の現状を調査しています。この2つの組織は、男女共同参画基本計画の第3分野「地域における男女共同参画の推進」において、数値目標が設定されています。両組織において女性参画は進んできているものの、目標達成には至っていません。
私は、土地改良区・JAの女性理事や関係機関等への聞き取り調査を行って、どのような経緯でどのような女性が参画しているのかを調査しています。単なる数字の上での増加にとどまらない、女性にとっても、受け入れる側にとってもプラスになるような参画のあり方を考えたいと思っています。
授業(学部)の内容とその方法
講義では農山漁村での実際の取り組みを積極的に取り上げます。農山漁村はみなさんにとって縁遠い存在かもしれませんが、みなさんの暮らしや社会とも深いかかわりを持っています。農山漁村の現状を「自分事」として考えられるような講義を目指しています。
大学院生の教育
フィールドワークを通して、多様な視点を理解し視野を広げていけるような教育を目指しています。
持続可能なワーク・ライフ・バランスの実現