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部分溶融ペリドタイト中の硫化鉄メルトプールの成長則:核形成のアナログ
地球誕生初期に起こった金属核形成において、浸透流を考慮したときでさえ金属の完全な岩石から分離は最終的に溶融岩石中の金属液滴の沈降過程が必要となります。金属液滴が周囲の溶けた岩石と化学的平衡になるかは、元素の拡散距離と沈降速度によるので、最終的に金属液滴のサイズに強く依存します。つまり、岩石中で金属液滴がどの程度まで大きくなるかを知ることは重要です。そこで、ペリドタイト中の硫化鉄メルトの成長則の研究を行いました。
ペリドタイト中に量比のことなる硫化鉄を混ぜたものを出発物質として1300度Cから1450度Cの温度範囲、圧力1.5GPaで高温高圧実験を行い、硫化鉄メルトプールの大きさの変化を測定しました。硫化鉄は高温になればなるほどサイズが大きくなることが分かりました。アレニウスプロットから得られたプールの成長における活性化エネルギーは331+-40kJ/molと決定されました。低温では、ペリドタイトの部分溶融度が低いため鉱物によるピン止め効果によって成長が阻害されことが分かりました。この結果から、ピン止め効果を考慮するとマグマオーシャン中を沈降する硫化鉄メルトプールは周囲の岩石メルトと非平衡になるような大きさまで成長しないものと考えられます。

1300度Cの実験のサンプルの後方電子散乱像。(a) FeS 6vol.%, 1h (b) FeS 6vol.%, 100h
(c) FeS 12vol.%, 1h (d) FeS 12 vol.%, 100h (e) FeS 18vol,%, 30h (f) FeS 18vol.%,
100h

1450度Cの実験のサンプルの後方電子散乱像。(a) FeS 6vol.%, 1h (b) FeS 6vol.%, 30h
(c) FeS 12vol.%, 1h (d) FeS 12 vol.%, 30h (e) FeS 18vol,%, 1h (f) FeS 18 vol.%,
30h
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