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 ◆ 高温高圧発生装置
 地球内部は高温高圧状態にありますので、地球内部を物性的手法で研究するためには
   高温高圧発生装置の仕様が不可欠です。

   高温高圧発生装置には多くの種類がありますが
   私たちの研究室では、大型のマルチアンビル式超高圧発生装置、
   特に川井式超高圧発生装置に力を注いでいます。
 
   この方式では、試料は八面体の圧力媒体の中に入れます。
   八面体圧力媒体は、一つの角を落とした立方体8個で加圧します。
   角を落とした立方体を2段目アンビルと呼びます。
   加圧はこれが主役なので、単純にアンビルというと、この2段目アンビルを指します。
   角を落とすことをトランケーションと呼びます。
   8個のアンビルは6個の1段目アンビルで加圧します。

 2段目アンビルは、通常、超硬合金(炭化タングステンWCを、少量のCo等のバインダーで
   固めたもの)で出来ています。最高発生圧力はアンビル材料に大きく依存しています。
   また、トランケーションの大きさを色々変えることにより、試料体積と最高発生圧力を
   変えることが出来ます。一般に、試料体積と最高発生圧力はトレードオフの関係にあります。

 最高発生圧力は、様々なことに依存しているので、一概には言えません。
   圧力発生にもっとも有利な条件の場合、トランケーション寸法1.5mmで41万気圧
   2.5mmで34万気圧、3.0mmで30万気圧、6.0mmで25万気圧、7.0mmで22万気圧を
   記録しています。

 これ以上の圧力を発生させるには、アンビル材を変えなくてはなりません。
   超硬合金より硬いアンビル材としては、焼結ダイヤモンドと焼結窒化ホウ素があります。
   焼結ダイヤモンドアンビルを用いた場合、最高63万気圧の圧力を現在発生可能です。

 試料の加熱は、圧力媒体中にヒーターを組み込んで行います。
   条件によっては、2800℃まで温度を上げることができます。
   温度の計測は、熱電対によって行います。





USSA-5000



Anvils










 私たちの研究室の主力である
 川井型超高圧発生装置USSA-5000です。

 この装置は、現在2000トン重の最大推力を持っています。
 1段目アンビルは、3個ずつ上下のガイドブロックに固定されており
 2段目アンビルは、立方体の[111]方向を天地に向けて加圧します。


 1段目アンビルの先端と2段目アンビル1辺は最高荷重に応じて
 選択可能です。




 
 2段目アンビルのサイズとしては、1辺26mm・32mm・46mmの
 3種類を通常用いています。
 最高荷重は各々700トン重・1000トン重・2000トン重です。

 この装置は、PCで制御した加熱装置を2系統装備しており
 色々複雑な手法で試料を加熱することが出来ます。
 これにより、大型単結晶など様々な種類の試料合成を行っています。


USSA-1000




 USSA-5000より小ぶりな、最高荷重1000トン重の
 川井型超高圧発生装置USSA-1000です。

 USSA-5000とコンセプトは同じですが 
 2段目アンビル寸法は32mmに固定で、加熱も1系統のみです。

 単純な試料合成や相平衡実験に用いています。



UHP-2000/20


DIA



 DIA型ガイドブロックを持つ高圧発生装置UHP-2000/20です。
 DIA型ガイドブロックは、45度の4つの斜面を持ち、これにより4つの
 スライディングブロックを水平方向に進めます。

 上下のガイドブロックと4つのスライディングブロックの先端に
 アンビルを 固定し、これにより立方体空間を加圧します。

 6個のアンビルで直接圧力媒体を加圧して
 キュービックアンビルプレスとして用いる場合と
 2段目アンビルを組み込んで川井型装置として用いる場合の
 2種類があります。



 
 
 キュービックアンビルとして用いる場合、アンビル先端サイズ15mmで
 最高6万気圧の発生が可能です。
 主に岩石の物性測定に用いています。
 
 川井型装置として用いる場合、2段目アンビルは焼結ダイヤモンドです。
 発生圧力は、通常50万気圧までで、下部マントル上部の
 物理条件での実験を行っています。





piston cylinder




 上記のマルチアンビル式超高圧発生装置以外に
  ピストンシリンダー式超高圧発生装置もあります。
  3万気圧程度までの圧力で
  弾性波速度測定や岩石学的実験を行っています。



box furnace



gas mixing furnace

 



 上記の高圧発生装置の他に、
 試料合成を目的とした高温炉があります。

 左側は、大型の箱型炉で、
 右側は、酸素雰囲気を制御して
 試料合成を行う縦型円筒炉です。

 いずれも、常用1500℃・最高1600℃まで
 発生可能です。





DAC



ダイヤモンドアンビルセル(DAC)は
先端を平坦にカットした対向する
2つの単結晶ダイヤモンドの間に封入した試料を圧縮することで、超高圧力を発生する事ができる装置です。

ダイヤモンドは最も硬い物質であるとともに
広い電磁波領域(X線、赤外光、可視光)において透明であるという特徴を持っています。

この”透明”なダイヤモンドの窓を通して我々は超高圧力状態の物質の様々な表情を捉えることができるのです。




 六方圧し高圧発生装置です。
 私たちは6軸加圧装置と呼んでおります。
 直交する独立した6本のシリンダーがあり
 油圧+ボールネジにより制御されております。
 
 試料空間あるいは川井型セルを
 正確な6面体形状を保持しつつ加圧でき
 DIA型装置換算で2000ton超えの加圧能力を
 持ちます。
 
 精密な位置制御ができることから
 50 GPaを超えるような超高圧力下での実験に
 使用されます。
      変形プレス  
      真空電気炉  

 ◆ 計測機器


  ●本グループでは、鉱物の弾性的・電気的性質を測定するシステムを有しています。



RUS




 共振法による弾性定数測定システムです。
 極めて高い精度で弾性定数を測定することが出来ます。



URS

 



 既述の共振法は高圧下では用いることが出来ないため
 高圧実験ではこちらの超音波測定システムが
 用いられます。




impedance analyzer



function generator and digital multimeters



 
 インピーダンスアナライザーです。
 鉱物の電気的性質を測定します。
 
 
 このインピーダンスアナライザーでは
 色々複雑な測定が出来るのです。
 
 








 単純に鉱物の電気抵抗測定を行うには
 左のような、ファンクションジェネレーターと
 デジタルマルチメーターを組み合わせたシステムを
 用いています。

 この装置は高ノイズ下でも
 高抵抗の試料の測定が可能なので
 高圧下での鉱物の電気伝導度の測定に適しています。

 1GΩまでの抵抗を測定することが出来ます。

 ◆ 基礎分析機器


●高圧実験で合成した試料や出発物質の基礎的な分析を行う装置です。

新粉末X線回折装置です。
微小部X線回折装置です。
EPMA 波長分散型X線マイクロアナライザーです。
5μm程度の領域の、ホウ素から鉛までの元素を分析することが出来ます。
SEM 走査電子顕微鏡です。実験試料の組織観察に用いています。
      プリセッション用X線   

 ◆ 加工機

●高圧実験では、実験用パーツの作成が重要な役割を果たしますので、様々な加工機が導入されています。

lathe drilling machine

milling machine

contour machine


flat-surface grinding machine

これらは、最も基本的な加工機です。

上段、左から
旋盤・ボール盤・フライス盤

下段左から
コンターマシン・平面研削盤です。


NC processing machine

旋盤・ボール盤・フライス盤は手動なので、単純な加工しか出来ません。
複雑形状の加工には、数値制御(NC)した自動工作機器が必要です。
これは簡易のNC加工機でパイロフィライトなどの
柔らかい材料の加工に用いています。


automatic processing machine



automatic processing machine

もう少し本格的な自動工作機
マシニングセンターです。

上の簡易の工作機と異なって、
12本の工具を用いて加工できますので
極めて自由な2.5次元の加工が出来ます。


infrared laser processing machine


 上記の機器は、ドリルやエンドミル等の工具で加工するものですが
 工具での加工には限界があります。

 これは、赤外線レーザー加工機です。
 レーザー加工機では、数10ミクロンのレーザー光を走らせて
 材料を焼き切って加工します。
ultraviolet laser processing machine  赤外線レーザー加工機では
 赤外線を吸収しない物質の加工は出来ません。
 
 赤外線を吸収しない貴金属や白いセラミックは
 紫外線レーザー加工機で加工します。


ultrasound processing machine

 単結晶の加工には、特別な装置が必要です。


 これは、超音波加工機です。
 超音波加工機では、砥粒を超音波で振動させて単結晶をくり抜きます。


micron meister





 単結晶を切断するカッターです。

 厚さ150ミクロンの歯で切断します。
 ラウエ写真機と併用して、定方位の切片を作成することも可能です。


polishing machine






  切断した単結晶を、このラッピング装置で琢磨します。







 ダイヤモンドワイヤーソーです。

 0.1mmと0.3mmのワイヤーが用意されており、
 顕微鏡下で試料の位置を正確に確認することにより、
 微細結晶・高圧実験回収試料の精密な切断が比較的小さな負荷でできます。
     ワイヤーカット  
     スパッタリング装置  
     プリセッション用X線  
     自動工作機  
     金コ―ター