反射率からボンド材の音速と減衰率を系統的に求める手法 音速測定におけるボンド効果補正を行っている過程で、水飴のようなボンド材の音波物性データが必要になった。本論文の趣旨は、反射率からこれらボンド材の音波物性(音速と減衰率)が系統的に求まることを示したことである。本論文では垂直反射で測定しているが、従来の測定は斜め反射で行われていた。垂直反射と斜め反射の比較検討を行い、前者の方が誤差の小さいことを明らかにした(感度は斜め入射のほうがいい)。数種類の物質を系統的に測定し、剛性率と減衰率の明瞭な相関関係を見出した。また、その相関関係が物質の分子構造の違いに依存することも明らかにした。これまで測定困難であった粘弾性体の横波音波物性を測定できる方法として本手法の価値は高い。 実験中の超音波センサー(Panametorics VS222-BC-RM)。金属ケース内にバッファロッドが埋め込まれている。センサーを小型万力で固定している。左図:石英ガラスのバッファロッド(自由端)右図:石英ガラスのバッファロッドに蜂蜜を塗布した。 両方の反射パルスを比較して塗布した物質の音波物性が評価できる。 蜂蜜を塗布した場合(緑)とそうでない場合(青)の反射パルスの比較。かなりの振幅の変化が見られますが、緑は青に比べてわずかに位相が遅れていることが分かります。 上図をフーリエ変換したもの。振幅比から音速を、位相差から音波吸収を、周波数の関数としてもとめることができます。