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 解説
Katsura T., Yokoshi S., Song M., Kawabe K., Tsujimura T., Kubo A., Ito E., Tange Y., Tomioka N., Saito K., Nozawa A., Funakoshi K., Thermal expansion of Mg2SiO4 ringwoodite at high pressures, J. Geophys. Res., 109, B12209, doi:10.1029/2004JB003094, 2004. 戻る Full text
Mg2SiO4リングウッダイトの熱膨張率測定

地球内部の温度勾配dT/dzは、
   (dT/dz)s = αgT/Cp
と書くことが出来ます。ここで、αは熱膨張率、gは重力加速度、Cpは定圧比熱です。重力加速度と定圧比熱はマントルではほぼ一定ですが、熱膨張率は温度と圧力によって変化します。そこで、マントルの温度分布を見積もるためには、マントル構成鉱物の熱膨張率をマントルとして現実的な温度圧力条件で測定する必要があります。
 高温高圧下での熱膨張率を決定する実際的な手法は、X線その場回折による比体積測定です。しかし、これまでマントルとして現実的な温度では、X線その場回折による比体積測定を行うことが困難でした。その理由は、超高温では試料の結晶が粒成長することです。私たちは、大型放射光施設SPring-8に設置した超高圧高温X線その場観察装置SPEED-Mk.IIにより粒成長問題を克服し、マントル遷移層下部の主要構成鉱物であるリングウッダイトの熱膨張率測定に成功しました。

 下の図は、安定領域下でのリングウッダイトの高圧熱膨張の測定データです。この研究により、これまで考えられていたより鉱物の熱膨張率の圧力依存性が大きいことが明らかになりました。この測定データから、マントル遷移層下部の熱膨張率は、温度1600Kならば2.3×10-5/K、2000Kならば2.3×10-5/Kであり、温度勾配は、1600Kならば0.29K/km、2000Kならば.49K/kmであることが分かりました。


Mg2SiO4リングウッダイトの熱膨張。横軸は圧力。縦軸は、高温高圧下での体積の、高圧常温下での体積の比、即ち、高圧下での熱膨張。圧力が上がるに従って、熱膨張率が小さくなることが分かる。

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