研究テーマ

安心安全な生活空間

交通安全


2022年度

VRシミュレーションを用いた安心して歩ける歩行空間整備に関する研究-道路の単路部・横断部に着目して-(修)
近年,「歩いて暮らせるまちづくり」が推進され,ここでは歩きたくなる歩行空間を提供することが重要とされている。道路空間における歩行は,「単路部における道路に沿った歩行」と「横断部における横断」の2つに分類でき,この両方の歩行の安心安全を担保することが,歩きたくなる歩行空間を提供する上で重要である。本研究では,「単路部における道路に沿った歩行」に関する課題の一つとして,狭幅員道路における歩車すれ違い時の不安感に着目し,自動車のどのような走行挙動が人々に不安感を与えるのかを明らかにすることを目的にVRシミュレーションを用いた調査を行った。さらに,「横断部における横断」に関する課題の一つとして,無信号横断歩道における歩行者優先義務違反に着目し,横断待機方法から構造的対策まで幅広い観点から一時停止率向上策を提案することを目的に,観測実験とVRシミュレーションを用いた調査を行った。2つの歩行の課題に対する改善策を検討した本研究は,安心して歩ける歩行空間を提供するための有益な知見となるものであると考えられる。

無信号横断歩道の構造による歩行者の立ち位置と不安感に関する研究-VRシミュレーションを用いて-(卒)
昨今,ドライバーの歩行者優先義務が必ずしも遵守されていないことから,横断歩道での一時停止率向上が横断中の交通事故の抑制に対して重要であると考えられる。本研究では,歩行者が無意識に車道に近い位置に立つことができると同時に,車道に近い位置でも歩行者が安心・安全に横断できる無信号横断歩道の構造を明らかにするために,実験参加者にヘッドマウントディスプレイを着用し,無信号横断歩道における待機と横断を行ってもらうVRシミュレーション実験を行った。その結果,歩行者の立ち位置には,せり出しが最も影響を与えることを示した。さらに,防護柵やボラードはせり出した構造でも歩行者の不安感を抑制する効果を示した。

2021年度

出会い頭事故防止を目的とした生活道路交差点での交通安全対策に関する研究(修)
我が国における生活道路での交通死亡事故は安定した減少傾向になっておらず,多くの死亡事故は身近な道路で発生している。近年,我が国では生活道路での安全対策を積極的に導入しているが,依然としてその整備水準が低いことから,生活道路での更なる安全対策が必要であるといえる。出会い頭事故を防止するためには,運転者側へ安全運転を促す方法と,子ども側(歩行者)へ不安全な行動を抑制させる方法の2つの観点から安全対策を考える必要がある。本研究では,交差点に導入されている既存の安全対策を取り上げ,交差点での止まろうと思う行動意識に対する効果を運転者及び歩行者の視点から検証し,同時に子どもの歩行時の視線への影響を明らかにした。

無信号横断歩道における自動車の一時停止率向上策に関する研究(卒)
道路交通法により,横断歩道で横断しようとする歩行者がいる場合,自動車は横断歩道の手前で一時停止をし,歩行者の通行を妨げてはならないと義務付けられている。しかし,2021年の時点で未だに約7割の自動車が違反している。この現状を踏まえ,警察は取り締まりの強化等を行っているが依然として効果がみられないことから新たな対策を考える必要がある。そこで本研究では,無信号横断歩道での自動車の一時停止率の向上のための対策について幅広い観点から検討を行うため,どのような状況のときに停止挙動を誘発しやすいのかを把握した。その結果,「アイコンタクトと挙手」は歩車道境界から離れた位置からでも横断意思を示しやすいということを示した。次に,歩行者の横断待機方法と自動車の挙動との関係性を明らかにした。

2020年度

交差点のコンパクト化が自動車走行速度に与える影響に関する研究-隅切半径に着目して-(修)
わが国における交通死亡事故発生件数を道路形状別に見ると交差点内での事故が最も多く,更なる交差点周辺の安全対策が求められる。その取り組みとして近年では交差点のコンパクト化が全国で進められており,隅切半径の縮小によって左折車の速度抑制が期待されている。本研究では,左折車の走行速度と,交差点や左折前・後街路における空間要素の関係を明らかにした。左折車の走行速度は,左折前から左折後まで幅広く評価を行った。結果として,左折車の走行速度や加速度は空間要素によって決定されており,空間要素の改良により抑制できることが示唆された。また,交差点隅切半径の縮小による効果を定量的に把握した。

生活道路における歩車すれ違い時の不安感に関する研究-VRシミュレーションを用いて-(卒)
第11次交通安全基本計画(中間案)において「生活道路は人が優先」という意識を国民に深く浸透させることで,生活道路における安全確保を図っている。しかし,具体的に「人が優先」の運転とはどういうものか示されていない。そこで本研究では,ドライバーが行うべき周囲の歩行者を不安にさせない運転挙動を提案するため,また,今後市場を拡大していくであろう自動運転車両に対して,ドライバーだけでなく歩行者にとっても不安を感じない挙動を付け加える際の検討材料とするため,歩行者と自動車がすれ違う場面において,自動車のどのような挙動が人に不安感を与えるのかを把握した。その結果,不安感が発生する速度と歩車間距離を定量的に示した。さらに,減速挙動のうち,減速度と最終速度に着目し,不安感に与える影響を明らかにした。

無信号交差点における自転車挙動と交差点構造の関係性の研究-GPS位置情報データを用いて-(卒)
我が国において,自転車関連事故の約6割が交差点で発生しており,自転車利用者の法令違反による交差点での出会い頭事故も問題となっている。自転車は都市内における回遊性の高い移動交通手段として多く利用されており,自転車にとって良好な走行環境を創出することが昨今の課題といえる。そこで本研究では,自転車利用時のGPSデータを用いることにより,都市内の街路における自転車挙動の実態を把握し,交差点構成要素との関係性を明らかにすることを目的として調査を行った。まず,交差点における一時停止及び徐行の実態を把握した結果,止まれ標識や歩道,横断歩道があることで徐行しやすくなることが示された。次に,走行速度に着目し,止まれ標識や右左折,リンク長などが交差点部での最低速度の低下や減速率の上昇に大きく影響していることを明らかにした。

2019年度

生活道路の出会い頭事故削減対策に関する研究(卒)
本研究では,生活道路での出会い頭事故を削減するため,運転者の止まる意識に着目し,安全対策の止まる意識への効果を検証することを目的として調査を行った。まず,運転者の生活道路に対する意識,運転意識や行動基準尺度等と止まる意識との関連を把握することで,止まる意識の低い人の特性を明らかにした。次に,安全対策の止まる意識への効果を検証し,止まる意識の低い人と回答者全体との結果とを比較することで,個人特性による安全対策の効果に関する差異を明らかにした。

2017年度

交差点における自転車利用者の滞留特性及び横断挙動に関する研究(修)
本研究では、岡山大学前交差点において、定点カメラの映像を用いて滞留位置から乱横断が多く発生しているのかを把握した上で、乱横断が発生しやすい滞留位置を選択する要因を明らかにした。さらに、ヒアリング調査を実施して乱横断を行う心理的要因を把握した。また、これらの分析を通して、交差点における乱横断のメカニズムを明らかにした。

ETC2.0プローブデータと歩行者量データを用いた抜け道道路の可視化とその危険性に関する研究(修)
これまで、抜け道道路は経験的にしか指摘されることがなく、人々の主観によって判断がされていたため、客観的にどの道路が抜け道道路なのか、対策をすべき抜け道道路はどこなのかを評価されることは少なかった。そこで本研究では、ETC2.0プローブデータと歩行者量データ、呼応通事故データを用いることで、抜け道道路がどこなのかを明らかにし、その可視化を行い、対人事故との関係を明らかにした。また、歩行者量データを用いることで抜け道道路での対人事故の潜在的リスクを評価し、その可視化を行った。

ETC2.0プローブデータを用いた自動車走行速度の変動に関する研究(修)
わが国では、依然として交通事故や渋滞といった社会的な損失が生じており、既存の道路インフラを効率的に利用することが求められている。そのためには、日々の交通実態を詳細に把握し、それらの問題解決へと役立てることが必要である。近年ICT技術の進展により交通データの収集方法が従来の方法から大きく進歩した。本研究では、新たなデータ収集システムにより収集されたETC2.0プローブデータを用いて、従来の調査では観測が困難であった面的かつ連続した要素が、自動車走行速度へ与える影響を把握した。

ドライバーの意識と生活道路走行時のストレスに関する研究(修)
本研究では、まずドライバーの運転意識・経験・個人属性に加え、心理尺度や、社会的な繋がりを示すソーシャル・キャピタルなどとの関連を把握する。また、自動車走行実験を行い、ドライバーの生体反応より、生活道路内でドライバーに過剰なストレスがかかる要因について、対車・対交通安全対策・対歩行者に分類し分析を行った。その結果をもとに、ドライバーに生活道路内走行に関する意識調査を行い、生活道路内走行時に歩行者を視認した際、街路状況・歩行者の特徴などがドライバーのストレス意識にどのように影響を及ぼすのかを明らかにした。

意識的要因及び空間的要因が歩きスマホに及ぼす影響に関する研究(卒)
我が国においてスマートフォンが急速に普及している一方で、近年、歩行中にスマートフォンを操作する行為、「歩きスマホ」が社会問題になりつつある。「歩きスマホ」は画面を注視しながら歩行するため、周囲への注意力の低下により重大な事故へとつながる危険性が指摘されているが、国内では歩きスマホの要因に関する既存研究は少ない。そこで本研究では、歩行者にとっての外的な要因である歩行空間と、内的な要因である歩行者自身の潜在意識や個人属性が歩きスマホに影響を及ぼすものとして考え、それらの関連性を検討した。

2016年度

安全な街路空間整備を目的とした生活道路のカラー舗装に関する研究(修)
我が国における生活道路では、交通死亡事故件数が増減しながら変動しており、安定した減少傾向とはなっていない。そのため、地域住民の日常生活に利用される生活道路において、交通の安全を確保することは重要な課題となっている。本研究では、安全な街路空間整備を目的として、生活道路におけるカラー舗装の整備実態、交通安全対策としての位置づけ、カラー舗装の効果、およびカラー舗装導入に対する地域住民の賛同意識について検討を行った。

2015年度

生活道路走行時のドライバーの生体反応に関する研究(卒)
近年、面的な30km/h規制や、カラー舗装、ハンプなどの生活道路の安全対策の研究は進んでおり、標準化が進んでいる。しかし、生活道路内の速度規制や安全対策がドライバーのストレスにどのように影響するのかを研究したものは見受けられない。そこで本研究では、生活道路内を走行することが、ドライバーにどのような影響を与えるのかについて検討する。自動車走行実験を行い、運転時の心拍、映像、運転に関するアンケート調査より、生活道路内運転時のストレスについて検討をした。

交通ビッグデータを用いた抜け道道路の特性と事故に関する考察(卒)
近年、幅員の狭い生活道路での死亡事故件数が全死亡事故に占める割合が増加している。これら要因の一つとして、都市部を中心に幹線道路の渋滞回避のために生活道路へ通貨車両が流入する「抜け道交通」が挙げられ、生活道路における抜け道対策を中心とした交通安全施策の重要性が増している状況にある。そこで、本研究では、道路のネットワーク構造とプローブデータに着目し、抜け道交通などの生活道路交通と関係性を検討し、抜け道道路では道路の選択されやすさが影響を与えていることが明らかとなった。

交差点における自転車利用者の滞留特性及び横断挙動に関する研究(卒)
近年、自転車利用者の交通ルール遵守や運転マナー向上に向けた取り組みを強化する社会的な重要性が高まっている。しかしながら、岡山市の岡大入口交差点では、多くの自転車が交通ルールやマナー違反をしており、交通事故の原因となっている。本研究では、岡大入口交差点を対象として自転車の滞留位置の選択するモデルを作成し、滞留位置を選択する要因を明らかとした。さらに、滞留した自転車が危険横断を行う要因について示した。

生活道路における交通事故危険箇所予測モデルに関する研究(修)
交通安全対策を行う上で、交通事故の発生状況がその基準となる。本研究では、道路環境、施設、人口、土地利用などの客観的指標を用い、交通事故データが入手困難な場合において、生活道路事故における交通事故危険箇所を予測するモデルを構築した。抜け道リンク長が全てのモデルで高度に有意であり、指標として有効性が示唆された。また、ポアソン回帰モデルが危険箇所を予測することに適していることが示唆された。

2014年度

速度抑制効果に着目したカラー舗装の色と舗装パターンに関する研究(卒)
本研究では、地域住民の意識から道路のカラー舗装化における色と配置における効果について明らかにし、幅>色>位置の順番で速度抑制効果が見られた。また、住民の地域との関わり方と速度抑制効果の違いの関係性を明らかにした。

生活道路における交通安全と防犯の安心・不安意識に関する研究-街路の空間構成要素と地域内コミュニティに着目して-(修)
本研究では生活道路歩行時における街路空間構成要素に対する安心・不安意識や地域内における住民間のコミュニティが、交通安全や防犯に関する安心・不安意識に及ぼす影響を分析し、安心意識向上に有効と考えられる施策の検討を行った。

ゾーン30の導入による交通安全意識に関する研究-小学生と保護者を対象として-(修)
本研究では、ゾーン30導入前後の変化を交通実態と意識面から捉え、小学生と保護者に影響を与える要因を把握している。結論として、ゾーン30の満足度に影響を与える要因として、小学生・保護者ともに自動車の走行速度や交通安全視点で見たまちの安全が挙げられた。

2013年度
街路空間整備を通じた交通安全対策手法の開発に関する研究(博)
街路空間、自動車交通、歩行者交通の関係を段階的かつ体系的に記述することで、新たな交通安全対策手法を確立し、実際の街路空間へ本手法を適用し、その効果や影響を評価することで、実践的な理論体系を構築した。

左折導流路における自動車と自転車の交錯事象に関する分析(修)
左折交通が卓越する交差点において左折導流路を設置する手法がある。 交通容量の拡大に有用であるが、一方で、自動車と自転車が信号のない横断歩道を無作為に通過する為、導流路内の横断歩道上で錯綜が生じ、出合い頭事故が多発しており交通安全対策上の課題となっていた。本研究では、両者の位置関係に着目した分析を行い、左折導流路における出合い頭事故の原因を追究している。

カーネル密度推定法を用いた交通事故危険区域推定モデルの構築に関する研究(卒)
一般的に都市全域を網羅した交通事故データは入手困難な場合が多い。そこで本研究では、交通事故対策対策箇所の選定する客観的指標を得るために、カーネル密度推定法を用いて都市構成要素から交通事故の発生を推定可能なモデルの構築を試みた。

2012年度

生活道路における交通安全・防犯の安心・不安の形成要因に関する研究(卒)
安全・安心の取り組みが進められているが、安全と安心は必ずしも一致しないと考えられるため、安心や不安を形成する要因を明確とする必要がある。本研究では、交通安全と防犯で、人々が漠然と感じる安心や不安を生み出す要因を道路構造などの観点から明らかにした。

2011年度

歩車混在空間における自動車走行速度に関する研究(卒)
Shared Spaceのような、街路の雰囲気を利用した道路空間の再配分を利用した交通安全対策が注目されている。本研究では、空間配分について検討するための基礎的な知見となる歩車混在空間における自動車走行速度について検討した。

2010年度

街路空間要素を考慮した生活道路における交通安全対策に関する研究(修)
街並み景観と合わせたドライバーが無意識に速度抑制を行う手法を提案し、実際の街路に適用することで、その効果を明らかにした。

歩行者の交通事故対策に向けた服飾からのアプローチ-事故死傷者の表色系変換を通して-(卒)
岡山県下で発生した歩行中の死亡事故データを用いて、衣服の色と交通事故やその事故の状況との関連について分析し、歩行中に着ていると安全な衣服の在り方について検討している。

生活道路における自動車走行挙動に関する研究-速度プロフィールデータを用いて-(卒)
ドライバーが自然と速度を抑制するような道路空間形成のため、街路空間要素と自動車の走行挙動との関係を定量的に明らかにし、道路空間要素から道路区間全体における自動車走行速度の挙動を予測する速度プロフィールモデルを提案している。

2008年

道路構成・沿道状況が自動車走行速度に与える影響(卒)
ドライバーが自然と速度を抑制するような道路空間形成のため、スピードガンを用いた現地調査を行い、自動車走行速度と街路空間要素の関係を定量的に明らかにすることで、街路空間から自動車走行速度を予測するモデルを提案している。

自動車利用抑制に向けた街路空間の定量的評価(卒)
生活道路における抜け道交通抑制のため、ドライバーが道路に抱くイメージを"表通り" "裏通り"という言葉で表し、3Dキャドを用いたアンケート調査からそのイメージを分析した上で、抜け道利用されにくい街路空間整備の方向性を検討している。


バリアフリー


2012年度

地域性に着目した障害者の移動実態に関する研究(卒)
障害者の方々も移動しやすい交通体系を考えていく上で、交通実態と需要を把握することは重要である。そこで今まで明らかとされていない障害者の交通実態と需要を明らかにするとともに、地域性との関係性を明らかにした。

2008年度

車いすの道路走行環境に関するバリア評価構造の分析(卒)
生活空間全体でのバリアフリーの実現を目指し、車いす利用者及び介助者へのアンケートを行い、両者の意識を考慮した上で、歩道のない道路についても評価可能な道路空間のバリア評価モデルを構築している。

 

交通規制


2011年度

面的な速度規制導入に向けた30km/h規制適用範囲の把握 -許容性と必要性の観点に着目して(修)
市域全体における自動車走行速度の抑制策として、面的な速度規制の導入が注目されている。そこで本研究では、30km/h規制範囲の決定方法を住民の意識からみた許容性と交通事故の危険性からみた必要性の二つの異なる観点から分析した。

2009年度

住宅地内道路における面的な速度規制に関する研究(卒)
近年の速度規制に関する新たな考え方が提示された中で、地域住民へのアンケートにより、人々の速度規制に対する考え方を明らかにし、生活圏における適切な規制速度の在り方を検討している。

 

 

利用しやすいモビリティの確保

公共交通(都市)


2022年度

サブスクリプション型運賃の導入による生活交通の利用意識に関する研究(修)
昨今,地域の公共交通サービスの維持が課題となる中,多くの自治体でコミュニティバスやデマンド交通など生活交通が運行されている。また,新しい交通サービスとしてMaaSが注目され,世界各国でサブスクリプション型運賃の導入が進んでいる。しかし,生活交通においてサブスクリプション型運賃が導入された事例は少なく,サービスの導入可能性について十分な検証がなされていない。そこで本研究は,玉野市の生活交通「シーバス」・「シータク」を対象として,生活交通におけるサブスクリプション型運賃の導入と,住民の公共交通利用に対する意識や外出行動との関係について明らかにした。

2020年度

バスの乗り方教室のバス利用促進効果に関する研究-小学生を対象として-(修)
利用促進策のひとつとして,バスを利用するきっかけとしてもらうことを目的とするバスの乗り方教室が行われている。バスの乗り方教室の主な対象は子どもと高齢者であるが,小学生に対する利用促進は将来の公共交通の利用者を育てることであり,長期的な視点で利用促進について考えると,重要な利用促進策のひとつであると考えられる。そこで本研究では,小学生を対象としたバスの乗り方教室に着目し,バスの乗り方教室の効果と小学生のバスの利用意識について明らかにした。

2018年度

住民主体の生活交通運営が地域住民に与える影響~主観的幸福感に着目して~(修)
本研究では、住民主体の生活交通運営を行っている地域において、運営活動そのものや、その利用者の満足度に着目した。その住民にとってこの取り組み自体や利用が、暮らしにおける満足度、ひいては主観的幸福感とどのように関係しているかの分析を行った。利用・非利用など、あるいは高齢者・若年層など、様々な立場から意識やその特性を把握した。

2016年度

住民主体での生活交通運営と生活満足度の関連性に関する研究(卒)
事業者による路線バスが廃止され公共交通空白域となった地域では、その地域の住民自らが立ち上がり、代替となる生活交通を運営する事例が増えつつある。事業の成立可能性や、導入前後における地域住民の評価などの研究は行われているが、継続して運営活動を行っている地域住民側の視点に立った研究はあまり行われていない。ここで本研究では、住民が主体となって生活交通を運営することが、住民の生活満足度の向上に寄与しているかどうかを、主観的幸福感尺度を用いて検証した。

2015年度

移動環境を考慮した高齢者の主観的幸福感に関する研究-余暇活動の重要性に着目して-(修)
近年、わが国における平均寿命は延伸しており、定年退職後の高齢期間も長くなっている。高齢者の生活の質向上の観点から、余暇時間の過ごし方が重要となっている。本研究では、まず移動環境や必須活動、及び余暇活動と主観的幸福感の関係について明らかにした。また余暇活動の重要性に着目した上で、余暇活動種目や余暇活動における外出と幸福感の関わりについて検討を行った。

2013年度

居住環境が余暇活動と生活満足度に与える影響に関する研究(卒)
平均寿命の延伸に伴い老後時間が長期化する中、生活における満足感を高めるためには、余暇活動の充実が重要な要素になると考えられる。本研究では、QOL評価尺度を用いた調査を行い、高齢者の生活満足度の要因分析を通し、居住環境が余暇活動やQOLへ与える影響を検証している。

2010年度

長期利用実現のためのP&BR利用者の意識構造分析(修)
長期間継続的に利用されるP&R(パークアンドライド)システムについて検討するために、P&BR利用者を対象にアンケート調査を実施した。利用意識と満足度との関係等について分析することで、継続利用されやすいシステムの在り方を検討した。

Influence of Mass Rail Transit on Residents' Travel Behavior(MRTの導入が居住者の交通行動に与える影響)(修)
中国における大都市上海が抱える交通問題を緩和するため、MRTの導入に焦点を当て、上海における性質の異なる2つの地区でのアンケートから、MRTの導入が居住者 の交通行動にもたらす影響について検討している。

2009年度

地方中心都市における基幹公共交通システムに関する研究 -LRTとBRTを対象として-(修)
自動車に依存しないコンパクトなまちづくりを実現するため、基幹公共交通システムの選定の際に重要となるLRT・BRTの特徴を踏まえた上で、岡山市と浜松市における住民のこれらの選定基準や利用意向を明らかにしている。

継続利用されるP&BRの要因分析-岡山市・赤磐市を対象として-(卒)
地球温暖化対策の一つとして近年注目されているP&BRの自主的な選択、長期的な継続利用を促すため、岡山市と赤磐市を対象にバス会社と共同でアンケート調査を実施し、継続されるP&BRの要因を明らかにしている。

 

公共交通(中山間)


2021年度

交通サービスの導入によるモビリティギャップの発生に関する基礎的研究-(卒)
従来の移動手段だけでは移動できない人たちへの対策として,コミュニティバスやデマンド交通等の移動手段が提案されるようになった。しかし,新たな移動手段を導入している地域においても未だ公共交通機関の利用者として対象外となっている人たちが存在するというモビリティギャップや,従来の移動手段では起こりえなかった新たなモビリティギャップが発生している。そこで本研究では,新たに提供・検討されている交通サービスの導入によりどのようなモビリティギャップが存在するかについて明らかにする。最終的にそれらを定量的・視覚的に示す。

2018年度

公共交通政策と公共交通満足度との関係性に関する考察(卒)
公共交通政策について自治体が評価を行う際の評価基準としては満足度を向上させることを目標にしている例が多くみられるが、満足度の向上を目標に政策を行っても、実際にその政策を住民の満足度へ反映させることが容易でないといった課題が生じている。本研究ではアンケートを用いて公共交通の満足度と個人や地域の特性との関係を明らかにし、満足度に影響するものについて明らかにした。

2014年度

外出のしやすさを考慮した公共交通サービスに関する研究(修)
本研究では、中山間地域や地方都市における外出のしやすい公共交通サービスについて検討するために、岡山県内井原市と玉野市を対象にアンケート調査を行い、外出が増えれば身体機能が向上することを明らかにした。また、公共交通を利用した外出の際の課題として時間的負担やアクセス性に着目し、バス交通の評価や意識に与える影響を把握した。そして、近年注目されているDRTの導入による効果や利用者意識を把握するとともに、実際の運行データから見えてきた課題の提起を行った。

中山間地域における身体障がい者の移動実態に関する研究-福祉交通の在り方に着目して-(修)
身体障がい者も障がいのない人と同様な生活を送られる社会を実現するためには、移動に関する整備を進展させることは重要な課題である。本研究では知見の少ない中山間地域において身体障がい者がどのような移動をしているのか把握し、外出日数に影響を及ぼす要因を健常者と比較することで明らかにした。また、身体障がい者の移動を確保するためには、福祉交通の整備も同時に行う必要があり、本研究では我が国の福祉交通の問題点を明らかにし、今後の持続可能な福祉交通の在り方についても考察した。

2013年度

持続可能な中山間地域形成に関する研究-モビリティ確保・生活支援に着目して-(修)
地域の移動に関する問題・買い物難民等の問題を抱える地方都市を取り上げ、住民の生活支援サービスに対する好みを把握し、複数の生活支援サービスの特徴を明らかにした。また、公共交通の中でもDRTに着目し、DRTの利用実態・特徴の把握、導入課題について明らかにした。

2012年度

個人の生活時間制約を考慮した通院・買物交通の評価(卒)
井原市を対象としたアンケート調査とバス停データにより、公共交通利用者の生活行動に時間的制約が生じていることを明らかにし、今後の公共交通体系のあり方について検討している。

2011年度

利用実態から捉えた路線バス・デマンドバスの評価比較(卒)
地方都市のバス交通システムの適応性について検討するため、定時定路線型のシステムからDRTへ移行した地方都市を対象に、DRT利用者の居住地特性、またDRT導入前後のバス交通の利用変化が起きる要因について明らかにした。

中山間地域の価値構成に関する研究-買物・通院行動に着目して-(卒)
中山間地域において日常生活に困難を感じている高齢者への生活支援は徐々に取り組まれつつある。本研究では、居住者の価値観を踏まえた上で,どういう地域で どういったサービスの提供が好ましいのかといったことについて検討した。

2010年度

地域交通の維持・存続に向けた居住者のバス支援意識に関する研究 -「乗って支える意識」・「支払金支払い意識」に着目して-(修)
地方都市における居住者のバス利用実態を明らかにし、それを踏まえ、多くの住民が参加可能な「乗ることでバスを支える意識」と「支援金を支払うことでバスを支える意識」についてその要因や意識構造を定量的に明らかにした。

2009年度

集落維持の観点から見た公共交通の重要性把握(卒)
中山間地域における、集落の消滅や公共交通のサービスレベル低下といった問題点から、高梁市と共同で行ったアンケート調査により、公共交通が過疎地域において果たす役割について検討している。

高齢者の運転免許返納・運転回避を考慮した中山間地域の公共交通の可能性(卒)
高齢者の運転免許返納や運転回避が進行する中でのモビリティ確保のため、津山市を対象としたアンケート調査より、今後高齢者が抱えるであろうモビリティに関する問題点を明らかにしている。

 

運転免許返納


2012年度

生活実態に着目した免許返納に関する研究(修)
高齢者の運転免許返納が進みつつあるが、その課題については十分明らかでない。そこで本研究では免許返納者へのアンケートを用いた分析を行い、返納に対する意識や返納を行う上で重要となる要因を明らかにした。

2010年度

居住地特性および交通行動の変化に着目した運転免許返納者の特性把握(卒)
高齢者の運転免許返納が進みつつあるが、その課題については十分明らかでない。そこで本研究では免許返納者へのアンケートや、返納者の住所データを用いた分析を行い、自主的な返納が出来る環境や返納後の問題点を明らかにした。

 

交通環境負荷


2009年度

中山間地域を抱える地方都市を対象とした地域構造改変の検討 -交通環境負荷削減の可能性に着目して-(修)
中山間地域における交通環境負荷削減の可能性を検討するため、津山市における居住者の交通行動及びバス利用意向などを考慮し、自動車中心の地域構造の見直しと暮らしを支える包括的な政策を提案している。



社会環境変化が交通行動に及ぼす潜在的負荷に関する研究 -都市サービスに基づく地区特性に着目して-(卒)
倉敷市を対象としたアンケート調査により、社会環境の変化が居住者の交通行動に与える影響を把握することで、将来的な都市コンパクト化施策の際にどのような地区において居住者の交通行動に負荷がかかるのかを検討している。

自動車の利用実態にみる交通環境負荷低減の可能性(修)
地球温暖化問題の対策における自動車利用抑制が喫緊の課題と認識されている中で、エコカーの利用実態を把握すると共に、社会環境の変化が自動車利用に及ぼす影響を明らかにし、交通行動変化の可能性を示唆している。

2008年度

低炭素社会に向けた自動車CO2排出量の削減のための複合的アプローチ(卒)
中長期的視点からの低炭素社会の実現に向けて居住者の自動車CO2排出量削減のための諸施策を複合的に実施した場合の効果を、地域特性別に検討している。

 

 

交通まちづくり


2022年度

サードプレイスと幸福感との関連性とその立地に関する研究(修)
近年,「サードプレイス」という概念が着目されている。サードプレイスは幸福感の向上を図る機能を持つものとして 1989 年にアメリカで提唱され,幸福度や生活満足度といった指標の作成が国際機関や日本においても進められている中,近年の日本におけるサードプレイスと幸福感との関連性についての既存研究は見当たらない。そこで本研究では,サードプレイスを持つことが幸福感を高めることを明らかにした。また,地方である高知市を対象にアンケート調査から具体的なサードプレイスの位置を把握し,サードプレイスを選択する際の要素として「近さ」や「普段の交通手段」,「空間の雰囲気」等が重要であることを,データを基に把握した。

街路空間に対する歩きやすさ意識に関する研究(卒)
近年,歩きやすい空間整備が全国で画一的に進められてきている。特に,街路は我々が実際に歩行する空間であり,街路要素に対して感じる「歩きやすさ」を定量的に評価することは歩行者にとっての歩行空間創出に寄与できると考える。そこで,本研究では,街路に対して感じる歩きやすさを「歩きやすさ意識」と定義し,個人の意識と街路の要素が歩きやすさ意識に与える影響を明らかにしている。また,Walkability Indexと本研究で得られた歩きやすさ意識モデルを用いて,地域単位と街路単位の両観点から歩行環境の実態を把握している。


2021年度

高齢者のコミュニケーションと生きがい・余暇活動に関する研究-SNS利用に着目して-(修)
我が国では高齢化が急速に進行し,高齢者の生きがいや余暇活動を充実させることが喫緊の課題となっている。一方,空間的な制約やモビリティ的な制約を超えて他者とのコミュニケーション機会を提供するSNSが高齢者において急速に普及し,その利点が明らかとなっている。本研究では,高齢者のコミュニケーションと生きがいや余暇活動との関連性を,SNS利用に着目し明らかにした。結果として,対面コミュニケーションを補完する役割でSNSを利用し満足することにより,生きがいを高くすることができる可能性が示唆された。また,SNSの利用に満足することは,コミュニケーションに満足することに繋がり,間接的に余暇活動の満足度に影響する可能性が示唆された。

自転車盗多発区域推定モデルの構築に関する研究-(卒)
近年,我が国における刑法犯の認知件数は減少傾向にあるが,国民の犯罪に対する不安は依然として高い。特に自転車盗は発生件数が多いが,検挙率が極めて低い値となっているため,自転車盗対策は重要な課題である。そこで本研究では,過去約7年分の自転車盗発生データを用いて,都市構成要素をもとに自転車盗の発生推定モデルを構築し,自転車盗発生と関連のある地理的要因やその時間的特徴などを明らかにすることを目的として分析を行った。全ての自転車盗を対象に行った分析では,無料市営駐輪場や商業地域,駅などが大きな影響度を持つことが示された。時間帯別の分析では,特定の時間帯において自転車盗発生に影響すると考えられる地理的要因が存在することを明らかにした。

2020年度

コロナ禍におけるサードプレイスと主観的幸福感に関する研究(卒)
近年,「サードプレイス」という概念が浸透してきている。サードプレイスとは,家と職場以外の第3の居場所とされ,1989年に孤独感やコミュニティの欠如などの課題を低減させるためにその必要性が提唱された。また,コロナ禍において,人との交流が制限された世の中におけるサードプレイスについての研究はみられない。そこで本研究では,コロナ禍において,主観的幸福感尺度(SWLS)を用いることにより,サードプレイスを持つことが主観的幸福感にどのような関連性があるかを明らかにすることを目的とする。結果として,サードプレイスを持つ人が主観的幸福感が高く,5~10年前から訪れていたサードプレイス,職場から訪れているサードプレイスを持つ人が主観的幸福感が高いことが示された。

2019年度

高齢者のコミュニケーションと生きがいに関する研究-SNS利用に着目して-(卒)
我が国では,老後に不安が感じられるものとして「生きがいの問題」が挙げられており,老後の生活を生きがいがあるものにすることが喫緊の課題となっている。そこで本研究では,生きがい意識尺度(Ikigai-9)を用いることにより,高齢者の生きがいの構成要素を把握している。また,生きがいを構成する要素としてコミュニケーションの中でもSNS利用に着目し生きがいとの関連性の把握を行った。

2018年度

子どもの遊び・学外活動とQOLの関係に関する研究(卒)
本研究では、小学校高学年の子どもとその保護者に対して、遊び・学外活動についてのアンケート調査を行い、双方の視点から、これらを分析する。また、自宅から遊び場までの移動経路や、小学生の行動範囲についても焦点を当て、研究を行った。加えて、本研究では子どものQOL(生活の質:Quality Of Life)について、子ども自身とその保護者の双方に調査を行い、そのQOLが遊びや行動範囲などにどのような影響を及ぼすのかを考察した。

SNSの正確性・速達性に関する研究~平成30年7月豪雨をケーススタディとして~(卒)
平成30年7月豪雨に関する投稿を分析することで、SNSは災害時どこまで素早く正確な情報を流せたのか、そして情報入手として、どこまで期待できるか評価した。結果として、SNSは非常に高い速達性を持っているため、自治体など信頼性の強い機関が積極的にSNSを活用し、その速達性を活用して正確な情報を発信することが求められることが明らかになった。

2017年度

コミュニティサイクル導入による利用者・非利用者の意識変化及び行動変化に関する研究(修)
本研究では、岡山市コミュニティサイクル「ももちゃり」を対象として、利用者と非利用者それぞれの視点からコミュニティサイクルの導入がまちの魅力につながるかどうか検討するとともに、利用者の行動変化の把握を行った。

2016年度

超小型EVシェアリングの導入によるまちの魅力向上に関する研究(卒)
近年、カーシェアリングと超小型モビリティを組み合わせた超小型EVシェアリングの導入が進んでいる。本研究では、超小型EVシェアリングの導入が検討されている岡山市を対象に、超小型EVシェアリングの導入がまちの魅力に及ぼす影響を把握する。

商店街のにぎわいに関与する空間構成要素に関する研究(卒)
近年、商店街は全国的に衰退傾向にある。これは商店街だけでなく街全体のイメージ低下につながると考えられる。そこで今、商店街では活力を維持するために活性化やにぎわいの創出が求められている。それらの背景より、商店街はにぎわいの創出のためにイベントや魅力的な空間形成を行っている。そこで本研究では、にぎわいの評価に影響する空間構成要素を明らかにし、魅力的な空間形成のための要素の配置パターンの提案を行い、各要素のにぎわいへの寄与率を定量的に把握することを目的とする。

岡山市中心部における駐車場の立地状況とその変遷に関する研究(卒)
近年、地方都市ではモータリゼーションの進展に伴う都市郊外の開発が進行し、中心市街地の都市機能が低下している。そのため使われなくなった建物や土地に対する有効な活用法が見出せないため、地権者は駐車場経営によって収益を上げる例が少なくない。また、一度駐車場化された土地は、他の用途へ転換されにくい傾向にあることが知られている。そこで、本研究では、岡山市中心部を対象に、立地する駐車場の分布の経年変化を把握した。また、駐車場の立地と周辺都市環境との関係性について考察を行った。

2015年度

コミュニティサイクルの評価とまちの魅力に関する研究(卒
本研究では、岡山県岡山市のコミュニティサイクル「ももちゃり」を対象として、利用者の意識変化・行動変化を明らかにするとともに、これらがまちの魅力に与える影響について把握をしている。