醍醐桜が教えてくれたこと

 

やや冗長で個人的な前書き

2. 福渡まで輪行 

. 旭川沿いを走って真庭まで 

. 醍醐桜に至る道 

. とうとう醍醐桜までやってきた 

6. 帰路

7. 再び福渡に

8. やや冗長で個人的な追記

 

 

2.  福渡まで輪行

 今回、自走するか輪行するかで迷った。醍醐桜は県北の真庭市にあり、自走だと往復約170キロ。やや長いが無理な行程ではない。しかし、輪行だと慣れぬ早起きをすることなく、行程にも余裕が持てる。結局、輪行することにしたのだが、そう決めたのは、 今回の遠乗りの少し前に、本宮高倉山の山頂から、遥か眼下に、旭川沿いを走るおもちゃのような津山線を見たときだ。それがすっごくかわいかったので、これまで一度も乗ったことがなかった津山線に急に乗りたくなったのだった。

 朝時前起床、前夜に作ったおにぎりを一つ頬張り時半前には家を出る。もうこの時期のこの時間帯はうすら明るくライトは必要ない。津山線・法界院駅に着くとすぐさまパッキングに取り掛かる。昨日の予行演習で散々手こずったので心配だったからだ輪行は年以上ぶり?)。幸いにも全く手間取ることなく、すんなりパッキングでき一安心。そこでしげしげと駅舎を眺める。

 JR法界院駅、自宅からキロの最寄駅で近くはよく通るものの、実はこれまで一度も利用したことがないだけでなく前を通ったことさえなかったのだった。岡山に来て12年目にして最寄駅と初体面である。そのため、全くどうということない駅であるにもかかわらず写真まで撮ってしまった。私が乗るのは分発の津山行きの始発。こんな時間帯に津山行きに乗る人なんているのかと思っていたが、ホームでは私以外にも5人この列車を待っていた。私以外の人は皆通勤客のようであった。列車が到着する少し前の時ちょうどに法界院のものと思われる鐘の音が聞こえた。

 津山線は、しばしば自転車で走る旭川沿いのr218(玉柏野々口線)の傍を通っている。そのため、ときどき列車と並走することがあり、以前からこのローカル線に親しみを感じていた。本日、その津山線に初めて乗って、車窓からいつも自分が自転車で走っている道を見ると非常に興味深く感じ、流れゆく風景に思わず見入ってしまった。暖かい日中にこの電車に乗っていて自転車で走る人の姿を目にしたら、窓を開けて「お〜い」と呼びかけたいと思った。しかし、車内に目をやると、窓の外の景色を眺める人は誰もおらず、大半の乗客は目をつむって半ば眠りこけていた。福渡には46分着。

 駅で自転車を組み立てると、タクシーの運ちゃんが、私の自転車に興味津々といった感じで「これ何段変速なの?」と話しかけてきた。歳は60前くらいで短髪。ちなみに「これ何段変速なの?」という質問は、ロードバイクに乗っていると最もよく聞かれる質問だ。なぜこんなことを尋ねるのか、いつもいぶかしく思う。行先も尋ねてきたので真庭まで醍醐桜を見に行くと答える。するとこの運ちゃん、「醍醐桜はここ数日の雨で色があせちゃってるよ」と言う。真偽はともかく、これからその桜を見にわざわざ自転車で行こうという者に対して全くデリカシーのない発言である。内心腹を立てるが、根は気の良い人のようで、ほくほくの こんにゃく玉がおいしいと教えてくれた。

つづく