岡山大学 顎口腔再建外科学

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親不知(おやしらず)の抜歯

通常成人の歯は28本あります。上下顎それぞれ、左右に7本づつ生えています。8番目の歯は18歳以降に生えてくるため、親が知らない時に生えてくることから一般的に親知らずと呼ばれています。学術的には第3大臼歯、智歯といい、咬み合わせに関与していないことが多い歯です。

一番奥に生えている親知らずは清掃しにくく不潔になりやすく虫歯にもなり易いとされています。また、親知らずの前に位置する歯(第2大臼歯)の清掃不良を引き起こし同歯が虫歯になる原因になります。また、ばい菌が感染症を引き起こし、顎の腫れ、痛み、発熱、発赤、開口障害などを引き起こします。ひどくなると摂食障害、気道閉塞を引き起こすこともあります。

治療法としては抜歯が第一選択です。ただし、痛みや腫れなどの急性症状が出ている時は、麻酔も効きにくいので化膿止め、鎮痛剤などにより炎症を抑えてから抜歯をする必要があります。

抜歯後にも痛みや腫れを伴いますので、一度症状の出た親知らずは抜歯することをお勧めします。一時的に急性症状が治まっても、体調が悪くなった時に再度急性症状が出る可能性が高く、再燃時にはさらに悪化する可能性が高いからです。ただし、親知らずの根の先と、神経の管が近い場所を走っている場合には抜歯することによって神経を損傷することによって感覚の麻痺を生じることがあります。このため抜歯する、または残存させておく、それぞれのリスクについて説明させていただく場合もあります。

抜歯後の注意点

  1. 抜歯当日は、血液の流れが良くなるような次の事柄は控えて下さい。痛みが増す可能性があります。
    • 熱いお風呂に長時間つからないようにすること
    • 激しい運動は控えること
    • サウナに入らないようにすること
    • 飲酒を控えること
  2. 麻酔が効いたままだと、唇や頬をかんでしまう恐れがありますので、食事は麻酔が切れてから行って下さい。麻酔が切れると痛みが出る可能性があります。痛み止めは服用後30分くらいから効いてきますので、麻酔が切れる少し前くらい(処置1〜2時間後)に痛み止めを飲まれると効果的です。
  3. 抜歯当日は、強くうがいをすると止血の妨げになりますので、極力うがいはしないで下さい。なお、翌日からはうがいをしても通常は大丈夫ですが、激しくはしないでください。
  4. 翌日まで唾液に血が混ざっていたりしますが、特に心配はいりません。
  5. 抜歯後はガーゼをしっかり咬んでいただきます。15〜20分でほぼ止血します。わずかに唾液の中に血が混じったり多少血の味がしたりしますが、気にして何度もうがいをしたり、つばを吐いたりすると、かさぶたが取れてしまい再出血や治癒不良の原因となります。気になるかとは思いますが、うがいはなるべくしないようにして下さい。
  6. 抜歯当日のみは患部を冷やしてもかまいませんが、温めないようにして下さい。翌日以降は治りが悪くなることがありますので、いずれもしないで下さい。
  7. 必要に応じて抗生剤(化膿止め)・鎮痛剤(痛み止め)を処方しますが、用法・用量は正しく服用し、鎮痛剤服薬に際しては間隔を6時間はあけて下さい。
  8. 親知らずを抜いた場合、頬が腫れたり、お口が開きにくかったり、飲み込むときにのどが痛かったりします。長引くときは、ご連絡下さい。