インド洋津波から14年 被災者への聞き取り調査

先日、タイのパンガー県に、2004年スマトラ島沖地震による津波の被災者を訪ねました。

14年もたって、かつての被災地は復興が進みました。海辺のリゾート地などは、まるで大災害などなかったかのようなたたずまいをみせています。でも、調査を通じてそこかしこに津波の残した爪痕を確認することができました。

特に復興が難しいのが、人間の心や生活です。被災者のなかには、心の傷を抱えていたり、津波に大きく人生を狂わされていたり、関連するさまざまな困難にぶちあたったりして、依然として苦しんでいる人がいることもわかりました。彼らにとっては、津波はまだ過去の出来事ではないのですね…

一方で、被災以前よりも生活がよくなったり、被災後のさまざまな支援をきっかけに、新たな道を力強く歩んでいる人たちもいました。彼ら曰く、「危機が機会になった」そうです。「でももう二度とごめんだ」と付け加えてはいましたが。

今日までのほほんと生きてきた私には、彼らの心情を正確に推し量ることは到底できそうにありません。でも、調査を通じてそれぞれの人生に共感するとともに、「しっかりせい!」と私の人生の「ゼンマイ」を彼らにキリキリ巻かれたように感じました。

この夏、日本でも災害が多発しています。彼らの生きざまは決して他人ごとではありません。私たち日本人が災害にどう向き合うべきか、改めて考える機会となりました。

2018年09月07日